肌が弱い人にとっては、化粧品の表示には本当のことが書いてあってほしいもの。
特に「敏感肌用」「低刺激」「マイルド」などという言葉が書いてあれば、他の化粧品より肌に優しいような気がしてしまいます。
化粧品の広告やパッケージに表示される文言には細かな決まりがありますが、これらの言葉を記載するのに決まりはあるのでしょうか。
実際の商品を比較して調査してみました。
【目次】
マイルド洗顔はマイルドではない!?
「マイルド処方だから敏感肌でも安心」などと謳われることもあるマイルド洗顔。
でも、商品名にまでマイルドを掲げるからにはとってもマイルドなのだろうと侮ってはいけません。
マイルド洗顔に含まれている成分を比較して、本当にマイルドなのか調査しました。
無印良品マイルド洗顔フォーム
シンプルでおしゃれなルックスと、ドラッグストアに負けず劣らずのプチプラ価格が人気の無印良品の洗顔フォームは、その名も「マイルド洗顔フォーム」。
気になる全成分を確認してみましょう。
無印良品マイルド洗顔フォームの全成分
水、ミリスチン酸、BG、ステアリン酸、水酸化K、グリセリン、パルミチン酸、ジステアリン酸グリコール、ラウリン酸、ラウラミノジ酢酸Na、PEG-3ヤシ脂肪酸アミドMEA硫酸Na、オレンジ果汁、オリーブ油、ステアリン酸ソルビタン、ラウラミドDEA、水酸化Na、エチドロン酸、EDTA-4Na、メチルパラベン、プロピルパラベン
洗浄成分はラウラミドDEA、ラウラミノジ酢酸Na、PEG-3ヤシ脂肪酸アミドMEA硫酸Naの3つと、「ミリスチン酸+ステアリン酸+パルミチン酸+水酸化Na」の足し算でできあがるせっけん(アルカリ洗浄剤)になります。
肌に負担の大きい界面活性剤などは使用していませんが、石油系化合原料も遠慮なく使っていて、特にマイルドな感じも受けません。
花王ソフィーナクレンズマイルド洗顔
花王は化粧品を自社で研究開発する数少ない大手化粧品メーカーで、ソフィーナも信頼度の高いブランドです。
気になる全成分は以下の通りです。
花王ソフィーナクレンズマイルド洗顔の全成分
水、アルギニン、ラウリン酸、PG、エタノール、ミリスチン酸、イソペンチルジオール、ラウリルヒドロキシスルタイン、パルミチン酸、ラウラミドプロピルベタイン、ジステアリン酸グリコール、デシルグルコシド、ラウレス硫酸Na、ユーカリエキス、グリセリン、オクトキシグリセリン、ポリクオタニウム-7、BG、水酸化Na、EDTA-3Na、フェノキシエタノール、BHT、メチルパラベン、香料
こちらは明らかに敏感肌向けではない製品です。
まず、全成分の4番目にPG(プロピレングリコール)という成分が含まれていますが、これは抗菌効果を持つアルコールです。
かつては保湿のために配合されることもありましたが、肌への刺激が強いため、現在では刺激の弱いBG(ブチレングリコール)に替わっていることが多い成分です。
また、PGの次に配合されいているエタノールもアルコールで、成分の最後尾から4番目のフェノキシエタノールもアルコールです。
その他、敏感肌なら避けて通りたい成分がかなり含まれていて、肌に対しては決してマイルドとは言えません。
DHCマイルドソープ
低価格で安定した品質が人気のDHCは、これまでも数々のブームを生み出してきました。
オリーブオイルクレンジング、コエンザイムQ10、無添加化粧品・・・。
こうして挙げてみると、DHCは肌に優しいブームを生み出し続けている企業なので、期待ができそうです。
DHCマイルドソープの全成分
石ケン素地、変性アルコール、スクロース、グリセリン、ソルビトール、水、オリーブ果実油、エチドロン酸4Na、ハチミツ
一見シンプルで本当にマイルドそうに見えますが、DHCマイルドソープにも肌への刺激が強い成分が含まれています。
それが、全成分中2番目に多く含まれている変性アルコールです。
変性アルコールは、エタノールに香料など別の成分を混ぜ合わせたもの。
こうすることによって、輸入時に酒税がかからなくなり、エタノールよりも安く仕入れることができるのです。
化粧品に表示される「マイルド」という表現
今回マイルド洗顔を調べるにあたって、商品名に「マイルド洗顔(クレンジング、ソープなど)」を含む製品を探しましたが、実はそれほどたくさんは見当たりませんでした。
そのほとんどが、1000円前後で購入できる一般的にはプチプラにあたる化粧品です。
この価格で、洗浄力を持つ洗顔やクレンジングなどを、本当にマイルドにできる企業は少ないのではないでしょうか。
天然成分を原料とした保存料や抗菌材は高価なので、1000円前後の製品に配合してしまうと、売る意味がなくなってしまうからです。
その中でも、今回の調査で、比較的「マイルド」に嘘がなかったのは、無印良品のマイルド洗顔フォームでした。
「マイルド・穏やか・低刺激」などの文言は、ヘアカラーなどのパッケージや広告に記載するのは禁じられていますが、化粧品では自由に名乗ることができます。
無添加や天然、オーガニックなどもほぼ同じ状態です。
化粧品はマイルド、低刺激と書かれていても、気になる成分はきちんとチェックして、肌をいたわるようにしましょう。