コスメの基礎知識

植物成分が優しいと言われる理由・・・天然だからは間違い!

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「私は敏感肌だから天然成分しか使えない」「肌が荒れている時はオーガニックで肌に優しいスキンケア」

・・・ごく自然に受け流してしまいそうなこんな言葉ですが、天然成分だとどうして肌に優しいのか、その理由をご存知ですか?

機能派のケミカルコスメ、無添加コスメ、100%天然コスメにオーガニックコスメ・・・。

日本の化粧品市場には成分のケミカル度を基準にしても、たくさんの種類があります。

その中でもオーガニックコスメや天然100%のコスメが「肌に優しい」と言われる本当の理由と、敏感肌にとって本当にベストなスキンケアの選び方についてお話ししたいと思います。

 

天然素材とケミカル素材、効果が優しいのはケミカルの方!?

一般には、天然素材や植物成分は「肌や体に優しい素材」と認識されています。

ところが、少し考えてみるとその認識には疑問点が浮かんできます。

化粧品と食品はほとんど同じものと言われるほど似ていますが、そこで少し考えてみてほしいのです。

 

みなさんは、体調の悪いときに緑黄色野菜を食べて体がかゆくなったりしたことはありませんか?

また、便秘がちの時、牛乳を飲んで便通が改善したりしたことはないでしょうか。

このように天然食材によって体調が大幅に悪化したり改善したりすることは、誰もが日常的に経験していることではないかと思います。

 

その一方で、20年ほど前まではどの店にも売っていた、カラフルな蛍光色のゼリーや人工油脂をふんだんに使用したクリームは、最近では「危険な食べ物」と認識されているにも関わらず、食べてすぐに体に何らかの異変が起こることは少ないのではないでしょうか。

ここからもわかるように、実は、人工のものと自然のものでは、自然のままのものの方が強い作用を持っていることが多いのです。

 

石油系ケミカル成分の歴史

では、どうしてこの2,30年で、人工の添加物は危険なものとして排除され、天然成分が優しい素材としてフォーカスされるようになったのでしょうか。

実は、石油を原料とした化粧品の歴史は、最初期から数えても150年経っていません。

人類最初の石油系化粧品はワセリンで、ワセリンを使用したクリームが日本の一般庶民にまで広がったのは1950年以降、つまりまだ100年の歴史もありません。

 

その100年の歴史の中で、石油系成分は様々な問題が指摘されることになったのです。

初期のワセリンによる油焼けやタール色素による発がん性、界面活性剤による角質層破壊、美白成分による白斑など、いずれもすぐに表に現れるトラブルではなく徐々に肌や健康を害するため、原因を特定しにくいものでした。

ケミカルな成分は、天然の素材から有効とされる特定の成分を抽出し、別の単離抽出された成分を掛け合わせたりして作られます。

それは天然のものより万人に合い、天然のものよりも純粋な効果が得られるようにとの意図から作られたものでしたが、ケミカル成分100年の歴史は自然にかなうことはなかったのです。

 

天然成分が優しいと言われるようになった理由

天然の成分は、植物1種類取ってもその全成分が解明されているものはありません。

複雑な組成の天然成分には、有効成分があり、それが働き過ぎる歯止めとなる成分があり、サポートする成分があり、全てがうまくバランスを取って働くのです。

ケミカルな成分ほど単純ではないため、その素材が含む成分の内1つでも合わない成分があれば使うことはできません。

 

ですから、天然成分は決して「優しい」のではなく、効果のある人にはむしろケミカルな成分よりも激しい効果を発揮するのです。

自然界の枠組みを超えて効果を発揮することを期待して作られた石油系成分は、自然界の代謝や循環のルールを無視しています。

そのため、自然のものである人間の体では分解や排出ができなかったり、細胞がその効果に耐え切れず、修復すらできなくなるということが起こります。

天然成分は決して優しくはありませんが、自然のルールを破ることはありません。

さらに、水銀や鉛など長期使用によって人体に悪影響のあるものは、自然素材数千年の歴史の中で発見されてきています。

そうした「よく知っているもの」への信頼が、天然成分が優しいという評価につながっているのでしょう。

 

天然成分を科学する時代

2000年以降、ケミカル成分の相次ぐ事故や薬事法の改正などが重なり、日本の化粧品は天然回帰の波を迎えます。

当初数年は、天然成分は効いているのか効いていないのかはわからないけれど、ケミカルのような害はないというようなものも多々ありました。

ただ、最近では天然素材のコスメは科学の手法を取り入れ、ケミカルコスメはどんどん天然素材の良いところを取り入れるようになっています。

実際に、昨年には国内のオーガニックコスメで初の医薬部外品が誕生しています。

美白もエイジングも、すべて天然成分によって安全にケアできる時代はすぐそばにまできています。

 

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