敏感肌の基礎知識

動物由来の化粧品は危険?植物原料に比べて避けられる理由とは

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日本でもここ数年、韓国やタイなど、アジアの美容先進国の化粧品ブームを受けた商品開発がなされたり、輸入コスメとして人気になったりしていますよね。

そんなコスメの中でも目立つのが、日本ではあまり見かけない動物由来原料配合のもの。

 

ミネラルや植物由来など、天然成分人気が高い日本で、どうして動物由来原料はあまり使われないのでしょうか。

日本国内で好んで使われる動物原料と、ブームになったアジアの動物原料についてお話しします。

 

韓国コスメでブームになったカタツムリ、シンエイク

どちらもセンセーショナルなブームとなったので、認知度の高い動物由来成分であるカタツムリと蛇毒(シンエイク)。

実はいずれも発祥は韓国ではありません。

 

カタツムリは元々チリで食用カタツムリを飼育していた人の手がキレイだということで発見された成分で、カタツムリが驚いた時に分泌するムチンという粘液成分のことです。

ライスエキスやコウジエキスなど、似た経緯で発見された美容成分は日本にもありますね。

 

カタツムリは化粧品のブームを受けて乱獲したり殺したりする必要はないそうなので、動物実験などに反対する方にも安心して使っていただけます。

 

また、シンエイクはスイスが発祥で、実は動物由来成分ではありません。

蛇の毒には筋肉を弛緩させるペプチド、ワグレリン1という成分が含まれているのですが、この働きが肌に深いシワをもたらしている筋肉を緩めて、見た目年齢を下げるということで注目されていました。

 

そこで、スイスのペンタファーム社という企業がワグレリン1の研究を続けて完成させた模倣成分です。

実は、蛇毒コスメと言っても、蛇は1匹も使われていません。

もちろん残酷な背景もないため、カタツムリのムチン同様、安心して使えます。

 

日本で使われている動物原料化粧品

韓国やタイなど、アジアの美容先進国では、動物由来の成分が一般的に採用されてるのに対し、日本ではあまり見かけることがありません。

 

動物原料を避ける傾向にある日本で最も多く使われている動物由来成分は、ハチミツ、動物プラセンタ、動物セラミドではないでしょうか。

いずれの成分にも共通して言えるのが、動物を殺さずに採取できるという点です。

 

ハチミツは言うまでもなく、巣から人間が作り、ミツバチが集めたハチミツの幾分かを分けてもらう方法で採取できます。

動物プラセンタは、動物が出産した時、同時に排出される臓器が原料で、自然界なら出産を終えた母親が食べて栄養をつけるものです。

また、動物セラミドは、現在ではウマセラミド(ウマスフィンゴ脂質)が一般的ですが、馬の脊髄から抽出した成分が原料になっています。

 

日本で動物原料が使われない理由

採取法を見てみるとわかることですが、これらの動物原料は、化学合成された成分はおろか、植物成分よりもはるかに希少で、栄養価の高い植物成分を一から育てるのと同じくらい時間と手間がかかります。

そのため、1頭からの採取量が少なければ少ないほど、価格は高騰してしまいます。

 

また、動物原料は他の天然原料である植物原料や鉱物原料などに比べて、危険性も高いという理由が挙げられます。

現在動物由来プラセンタと言えば、フィッシュプラセンタ、豚プラセンタ、馬プラセンタの3つが主流ですが、プラセンタが注目を浴び始めた頃には、豚や馬以上に牛プラセンタが良く使われていました。

 

牛プラセンタが使われなくなった理由は「口蹄疫」です。

人間にはうつることのない偶蹄類特有の感染症ですが、人間を介して他の偶蹄類に感染する可能性は高く、化粧品や食品としても使われることがなくなりました。

 

わざわざ感染の危険を冒してまで使わなければいけない動物由来原料が少ないということもあります。

例えばカタツムリから取れる美容成分は、ヤマイモ、オクラ、なめこなど、ねばねばした植物からなら大抵採取することができます。

シンエイクも、蛇を使わずに再現できている成分の1つです。

 

日本の化粧品業界は動物実験にも反対姿勢

2015年3月、花王が動物実験を廃止しました。

資生堂、マンダム、コーセー、ポーラ、メナードら大手化粧品企業も動物実験の廃止に踏み切っています。

化粧品業界の流れはオーガニックに傾いていますが、世界のオーガニック認定機関は、その基準に動物実験の禁止やハチミツなどの一部を除く動物原料の使用を禁じています。

 

ファンケルなどの一部企業では、動物実験に替わる新しい安全性実験についての研究も進められています。

 

動物の命を搾取してまでの美しさはいらないというのが、最近の日本の化粧品メーカーの総意のようです。

アジアでは一般的な動物由来化粧品を、日本の化粧品メーカーでは作らない理由は

・原料の希少性が高い

・原料の確保に手間や時間がかかる

・人間・動物の安全性への配慮

・動物環境への配慮

という4つが軸になっているようです。

 

日本の化粧品企業が、見えにくいところで努力しているのがわかりますよね。

 

 

 

 

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