「ポジティブリスト」「ネガティブリスト」・・・化粧品の成分を気にしたことのある人なら聞いたことがある言葉かもしれません。
化粧品を、気になる成分や有効成分だけで決める人には、耳なじみのない言葉だと思います。
この2つは厚生労働省によって、配合量や配合の是非、用途などを規定されている成分のリストのことなのです。
そしてこの成分のリスト、実は敏感肌に大きく関わってくるものでもあります。
そんなポジティブリスト、ネガティブリストについて、わかりやすくお話ししたいと思います。
【目次】
ポジティブリストには「旧表示指定成分」の名称も・・・配合量が規制されている成分
このリストに載っているのは「紫外線吸収剤」「タール系色素」「防腐剤」という3つの内、いずれかの役割を持つ成分の内、人体への悪影響という点で、配合量の上限や用途を規定されている成分です。
正式名称は「厚生省告示第 331 号 化粧品基準」で、「配合可能成分リスト」とも呼ばれています。
この中には「旧表示指定成分」※1の名称もあります。
※1.旧表示指定成分とは…化粧品の全成分表示が義務付けられていなかった薬事法改正まで、肌にトラブルを引き起こす可能性のある成分として、パッケージや容器への成分表示が義務付けられていた成分。
103種類の成分が指定されており、現在では「添加物」という呼び方をされることもある。
無添加化粧品の「無添加」とは、これら103種類の成分の内、いずれかを含んでいないことを指す。
ポジティブリストの中にある「添加物」は、有名なところではフェノキシエタノール、安息香酸などがありますが、意外なことに、天然ミネラルである亜鉛や、医薬品であるサリチル酸の名称も含まれています。
ネガティブリスト・・・化粧品に配合することのできない危険性の高い成分
ポジティブリストとは対照的に、ネガティブリストは「紫外線吸収剤」「タール系色素」「防腐剤」以外の成分について定めたリストです。
このリストに表示されている成分は化粧品に配合することができません。
正式名称はポジティブリストと同じく「厚生省告示第 331 号 化粧品基準」で、「配合禁止成分リスト」とも呼ばれます。
このリスト上では、原則的に、どんな化粧品にも医薬品成分※2は配合を禁止しています。
※2.承認化粧品成分・・・薬事法が改正される以前から化粧品に使用されていた医薬品成分。
配合量の上限や期限を定め、制限付きで化粧品への配合を許可されている。
グリチルリチン酸ジカリウムやカンゾウエキスなど、化粧品に欠かせない成分も承認化粧品成分として登録されている。
具体的には、
・すべての化粧品への配合を禁止する成分
・全ての化粧品への配合を制限する成分
・化粧品の種類や目的によって配合を制限する成分
・化粧品の種類によって配合を制限する成分
の4つの項目に対して言及されています。
2001年の薬事法改正によって変わった化粧品成分をめぐる扱い
ポジティブリスト、ネガティブリストの両方の項目に米印が付いていたことに皆さんはお気づきでしょうか。
その両方が、薬事法に関係する事柄でした。
平成13年、2001年。
薬事法が改正されたこの年は、化粧品自体や、それを使用する消費者にとって転機となる年でした。
薬事法改正以前の化粧品に対する規定は
・化粧品も配合成分によっては届け出が必要
・化粧品の成分表示義務なし
・厚労省の「化粧品原料基準」によって、化粧品への成分配合が制限
というものでしたが、薬事法の改正によって
・化粧品の成分や配合については届け出の必要なし
・化粧品は全成分表示が義務付けられる
・ポジティブリスト・ネガティブリストによって化粧品への成分配合が制限
となりました。
成分的には、いわば規制緩和で、配合できる成分の幅は広がり、成分や配合によって届け出をする必要がなくなりました。
その代わり、配合した成分全てを表示することで、消費者にどのような成分が入っているか自己確認させることになったのです。
ポジティブリスト・ネガティブリストで許可された成分は敏感肌に使っても大丈夫?
結論から言えば、大部分の人にとっては心配する必要はありません。
例えば亜鉛は金属アレルギーの人にとっては刺激になるかもしれませんが、そうでない人にとって、制限内の量を肌に付けたからと言って目に見えて刺激が起こるとは考えにくいからです。
肌の調子や体調の悪い時に避けたい成分であることは確かですが、リストによって制限されている以外でも、例えば柑橘系の精油はアトピーの人には刺激が強いと言われていて、天然成分ではありますが、避ける人も多いのです。
オーガニックコスメが日本に本格参入し始めたのは2000年ごろと言われています。
2006年には日本にもオーガニックコスメの団体ができ、2010年にはすでに高級百貨店のコスメ売り場に店舗を構えるオーガニックショップも珍しくなくなっていました。
この流れは、薬事法によって「消費者自身が成分表示を見極め、危険を察知しなさい」という方向性が出来上がったことが後押ししたことは想像に難くありません。
化粧品は、人生を変えるほどの潤いを与えてくれることもあれば、深刻な悩みをもたらすこともあるものです。
自らしっかりとした選択の軸を持って、自分の肌にとってより良いものを選び取るようにしましょう。