冬のつらい乾燥の終わりが見え始めるはずの2月末頃からゴールデンウィーク頃。
なぜかより一層肌荒れが悪化し、手の付けられない状況になる人は少なくないはずです。
これはスギ花粉のアレルギー症状からPM2.5による刺激に加え、紫外線による刺激も一層強くなるためのもの。
冬の敵が冷えと乾燥だけだったことに比べて強敵が多すぎるため、この時期の肌は打ちのめされてしまいます。
この強敵から身を守り、荒れた肌を改善するための方法についてお話ししたいと思います。
【目次】
花粉やPM2.5での肌荒れを防ぐには
紫外線のように「非物質」に近い刺激とは違い、花粉やPM2.5、黄砂などの刺激は、肌に直接物質的な刺激を与えます。
そのため、防御も物質的な方法が有効で、重ね着をする、マスクをするなどの方法である程度は防げます。
ただ、常に出しておかなければいけない顔の肌をすべて物質的に覆っておくことは難しいため、疑似バリア層を持つ化粧品によって、朝のスキンケアをしておくことが効果的です。
残念ながら、この疑似バリアを作り出す化粧品は多くはなく、唯一国内ではディセンシアの「ヴァイタサイクルヴェール」というポーラオルビスグループの特許成分だけがしっかりとした根拠を持つバリア成分でした。
ヴァイタサイクルヴェールは「ベントナイト」という海洋物質を軸とした成分で、このベントナイト自体が非常に高い密閉性を持っています。
その精度の高さは、車や放射性物質など、厳密な気密性を求められる現場で圧倒的な信頼を得ているほどで、肌の水分を逃がすことなくほぼ完全に外からの物質的刺激を遮断することができるのです。
その他の「疑似角質」や「疑似バリア」をうたうものは、ほぼ自らの角質を強化するもので、その実態はセラミド配合化粧品です。
使ったその日の肌を守ってほしい場合は、現状ではディセンシア以外の選択肢はありません。
冬から始める花粉・PM2.5予防
即日防御効果を見込めるものは、日本ではディセンシア以外にありませんが、花粉やPM2.5の時期に先立って予防を始めるのであれば、自らの持つ肌バリアを強化するのは最も有効な方法と言えます。
肌バリア強化は敏感肌を外側からスキンケアする際のテーマと言っても良く、これさえできていれば、あとは中からのケアや生活改善で敏感肌は治ると言っても過言ではありません。
肌バリア強化のポイントは
・セラミドやコレステロールを外側から補う
・生み出される細胞間脂質やMNF(天然保湿因子)の合成を正常化する
・炎症を抑える
の3つです。
1つ目は化粧品で補うことができ、2つ目は3つ目を実践することができれば自然と正常化されます。
つまり、肌バリア強化のカギは「炎症を抑える」ことに他ならないのです。
炎症を抑える効果があり、なおかつセラミドが配合されている化粧品はたくさんあります。
選ぶポイントは角質を傷める合成界面活性剤が配合されていないこと。
セラミドはヒト型セラミド(人間の持つセラミドと全く同じ構造)や植物セラミドがおすすめです。
すでに炎症が激化している花粉・PM2.5による肌荒れの改善法
激化している炎症には複数の抗炎症成分が複雑に絡まり合って効果を発揮する植物成分中心の基礎化粧品がおすすめです。
植物を構成している成分は非常に複雑です。
例えばローズの精油では、500以上もの成分によって構成されると言われていますが、その大半はどういう症状に効果があるのか、はっきりしたことはわかっていない上、それがすべてではないのです。
植物のパワーはその成分同士の相互作用によって、抽出されたエキスよりも高い効果を発揮することが期待できます。
先ほど例として挙げたローズも、単純な抗炎症成分よりも高い作用を示す植物成分のひとつで、抗炎症成分「グリチルリチン酸」の原料ともなるカンゾウという植物は、ステロイドにも似た作用を示す強力な抗炎症パワーを持つ植物です。
また、抗アレルギー作用があり、花粉症が発症するメカニズムの根本からストップをかけ、すでに起こっているPM2.5などの環境ストレスに対して高い効果を発揮することが判明した「オウゴン」を配合している化粧品は、予防と治癒両方に効果があり、おすすめです。
基礎化粧品ではありませんが、HANAオーガニックのウェアルーUVにはローズ、オウゴンの他、ブルーライトによる非物質的な刺激にも効果があるとされるホワイトカカオを配合しているため、日中の刺激を防御しながら、起こっている炎症にも対応してくれます。
PM2.5の粒子は極小のため、角質の隙間に入り込んで浸透する可能性がある
漠然と肌に悪影響を与えるものと思われているPM2.5や花粉、黄砂ですが、実はそれぞれに肌荒れの原因となる経緯は違います。
PM2.5とは、ある一つの物質の名称ではなく、2.5マイクロメートル(2.5mmの千分の1)以下の粒子状物質の総称です。
スギ花粉の粒子が1mmの約30分の1、人間の髪の断面直径が1mmの10分の1程度であるのと比べると、いかに小さい粒子なのかがわかると思います。
その粒子の中には様々な物質が含まれていますが、金属や塩酸など、それ自体が刺激となるものもあります。
また、ナノ化成分と同じように、角質の間に落ち込み、体内に入り込んで血中に溶け出す可能性も指摘されています。
自然界に存在する粒子であれば、人間の体内で分解することが可能なものがおおいものの、人為的に発生した微粒子の場合、体内で分解することができず、アレルギーを発生させるなどの悪影響が考えられるのです。
自然発生のPM2.5の中には黄砂も含まれています。
花粉はそれ自体がアレルゲンとなっていて、肌に付着したり、呼吸によって吸い込むことによってアレルギーを引き起こします。
黄砂もそれ自体が刺激となる物質で、主に中国大陸から偏西風に乗ってやってくる鉱物粒子、砂塵です。
中国大陸から旅立つ段階では、単に粒子中に含まれる金属による刺激やアレルギーの問題だけで、花粉と同じように物理的な対策だけでも十分に効果を感じることができます。
ところが、大陸を渡って日本に到着するまでの間に、より小さな粒子になるもの(PM2.5)、大気中の汚染物質を取り込んで毒性を増すものなどがあり、肌だけでなく、健康に少なくない影響を与えるのです。
このように、花粉やPM2.5などは、肌だけではなく体内からも肌荒れの原因を作っているので、都市が明けてからは特に腸内環境に気を付ける、腎臓や肝臓(毒素の分解を担っている)に負担となる食生活をしないなどの内的改善にも心がけるようにしましょう。