角質層が薄いことの多い敏感肌やアトピー肌。
あまり強力なクレンジングを使ってしまうと、洗顔後に赤くなったり、ビニールのように突っ張った肌になってしまうこともあります。
その原因は、クレンジングに含まれている界面活性剤。
角質層の水分と油分を混ぜて、規則正しく並んでいる層を破壊してしまうほど強い界面活性剤は、敏感肌を悪化させてしまいます
ここでは角質層を守りながらメイクを落とすことができる天然素材の界面活性剤を3種類ピックアップしました。
米ぬかを使ったクレンジング
古くから化粧品としても使われてきた米ぬか。
最近ではその米ぬかがクレンジングとしても人気を得ています。
玄米を精米する時に出る米ぬかは、米そのものではなく、米の胚芽や皮の部分です。
一見、何の洗浄力ももたなさそうな米ぬかですが、精米時に生じる脂肪酸ナトリウムという成分によってメイクを落とすことができるのです。
脂肪酸ナトリウムは、石鹸の洗浄力の主体となる成分で、それだけでも高い界面活性力を持っています。
そのため、米ぬかを水で湿らせて洗顔するだけで、軽いメイクならするする落とすことができるのです。
また、米ぬかには界面活性剤だけではなく、各種ビタミン、カルシウムやアミノ酸、ミネラルなどの美肌成分が豊富に含まれています。
敏感肌にとってはうれしい、メイクを落としながらスキンケアできる天然の成分なのです。
米ぬかをメイク落としとして使う場合の注意点は、スクラブ状になった米ぬかで肌を傷めないようにするという点です。
米ぬかは泡立たないので、米ぬかをガーゼなどに包んで、それを石鹸のように水で濡らして使うと良いでしょう。
ソフトピーリング効果のあるヨーグルト
角質層がごわついてくすみが気になる時に使いたいのがヨーグルト洗顔です。
ヨーグルトは皆さんご存知のように乳製品ですが、牛乳は天然の界面活性剤であるカゼインが含まれています。
牛乳の脂肪分と水分が分離せず混ざり合ったままでいるのはこのカゼインの働きによるものです。
カゼインの働きによって油分を洗い落とすことができると同時に、ヨーグルトにはごくソフトなピーリング効果もあります。
ヨーグルトには角質を柔らかくしてはがれやすくするAHA(フルーツ酸)が含まれています。
ヨーグルト洗顔をする上での注意点は、ホエイ(乳清)と呼ばれるヨーグルトの上澄み液を捨てずに使うということです。
カゼインが含まれているのはカードと呼ばれる白い部分ですが、ピーリング効果を持つAHAはスープ状のホエイに含まれています。
また、ホエイには以下のような成分が含まれています。
乳酸菌・・・どの乳酸菌がどの程度皮膚常在菌バランスに影響するのかはいまだ研究が続けられていますが、乳酸菌の内のいくつかの種類は、皮膚常在菌中の善玉菌を活性化する働きがあると言われています
ラクトフェリン・・・タンパク質の一種で、抗菌、抗炎症作用などを持ち、また、免疫の働きにも良い影響を与えます
βラクトグロブリン・・・敏感肌やアトピー肌によく起こるかゆみを鎮める作用があります
必須アミノ酸・・・タンパク質が分解され、最小の単位となったものがアミノ酸です。その中でも人間の体内で生成することができないものを必須アミノ酸と呼びます。美肌はもちろん、不足すれば命にもかかわる大事な成分です
このように、ヨーグルトの健康・美肌効果はホエイによるところがとても大きいことがわかっています。
洗顔時にも、栄養がたっぷり詰まったホエイ部分を余すところなく使うようにしましょう。
不思議な植物サボンソウ
洋名をソープワートと言えば、和名の「サボン」の意味が分かるでしょうか。
そう、日本では「石鹸草」の意味を持つ名で呼ばれるこの草は、ヨーロッパから中央アジアにかけて自生するハーブです。
その名の通り、この植物の根や茎を細かく刻んで石鹸のように水を含ませてこすり合わせると、緑色の泡が立ち始めます。
これはこの植物に含まれるサポニンという界面活性剤の働きによるものです。
サポニンという名称は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
実はサポニンという界面活性剤は、あらゆる植物に含まれています。
大豆や小豆、オリーブやブドウ(皮部分)など、とても身近な植物にもサポニンは含まれていて、昔から含有量の多い植物は、洗浄料としての役割を担ってきました。
中でもサボンソウは約4%という高いサポニン含有量を誇る植物で、そのまま飲むことによって皮膚炎を改善するサプリメント代わりにもなります。
ただ、このサボンソウは米ぬかやヨーグルトと違って、手に入りにくく高価です。
そのものを手に入れてそのまま使うことは難しいので、興味のある人はサボンソウ配合の石鹸やクレンジングを探してみてはいかがでしょうか。
石油合成された界面活性剤は、自然界の枠を超えて強力なため、肌に洗浄の爪痕を残すものも多いです。
毎日のことだからこそ、敏感肌が気になる人は、できる限り自然の範囲内でメイクし、クレンジングすることに努めましょう。