美容業界では「落とし物」と呼ばれる洗顔料やクレンジング。
テクスチャーによって落とせるメイクや肌への負担に大きな差が出ます。
というのも、この落し物は「界面活性剤」であり、天然のものと人工のもので、その強さが全く違うからです。
敏感肌に使う落とし物の基本的なルールと肌への負担度を知って、さらに優しいスキンケアを目指しましょう。
【目次】
W洗顔は必要なし!クレンジングのみ・洗顔のみでメイクを落とすのが基本
皆さんはメイクした日の夜のクレンジングというと、どういう手順で行っているでしょうか。
「クレンジングでメイクを落としてから洗顔」という順番で顔を洗っている人が多いのではないかと思います。
しかしこれはあまり意味がありません。
深く考えてみると、クレンジングで油分を落としたにも関わらず、なぜもう一度洗顔するのかわからないと思いませんか?
落としきれない汚れがあるというイメージもあると思いますが、それは単にメイクに対してクレンジングが合っていないだけなのです。
洗顔とクレンジングの違いとは?
そもそも、クレンジングと洗顔料は洗顔力の強さに違いがあるだけで、基本的に同じものです。
洗顔は水性の汚れを落とすもの、クレンジングは油性の汚れを落とすものと分類する向きがありますが、それは洗顔が界面活性剤を利用しないステップである場合だけです。
洗顔とは、純粋な水洗顔、オイル洗顔とそれ以外のものに分けられます。
最も肌に優しい洗顔は水洗顔ですが、これは上述の「水性洗顔」の理論で、水性の汚れしか落とすことができません。
次に天然100%のオイル洗顔ですが、こちらは水洗顔とは逆に油分しか落としません。
それ以外の洗顔は天然・非天然の別はあっても、界面活性剤を使用して水性成分と油性成分を分離させる力があります。
洗顔とクレンジングの呼び分けに関しては明確に決まってはいませんが、天然の汚れを落とせるのが洗顔、ケミカルな汚れまで洗い流せるのがクレンジングと考えて間違いないでしょう。
界面活性剤の歴史は紀元前3000年から!危険性の低い界面活性剤
先ほどから界面活性剤という言葉を何度か使ってきましたが、これも勘違いされがちな部分です。
界面活性剤とは、本来まじりあうことのない水性成分と油性成分を混ぜ合わせるための媒体のようなもの。
それだけ聞くとさらに危険なもののような印象を受けますが、最も人類になじみ深い界面活性剤の歴史はなんと紀元前3000年にまでさかのぼります。
つまり、実は界面活性剤には天然のものが存在するのです。
その天然の界面活性剤が「石鹸」です。
その日のメイクがオーガニックオンリーだったとすれば、洗顔は石鹸だけで十分です。
マスカラもラスティング力の高いファンデーションもと気合の入った日にはケミカルな界面活性剤の入ったしっかりクレンジングを使用する必要があるでしょう。
肌に負担の大きいクレンジング・ワーストランキング
肌にとって一日で最も負担が大きいと言っても過言ではない洗顔。
メイク自体よりも負担になる場合も多く、敏感肌にとってはとても慎重に選びたいアイテムです。
ここでは肌に負担の大きい順に洗顔をランキングしています。
ランキング上位のものは特別な日のしっかりメイクやポイントメイクを落とすための部分使いにとどめるなど、肌と相談して使用することが必要です。
ワースト1. シートクレンジング
どんな理由があれ、絶対におすすめしないクレンジング法です。
シートクレンジングシートに含まれているのはリキッドクレンジングです。
ただでさえ強力なリキッドクレンジングを、保存が難しいアルミパックで長期間保存することも、そのシートでごしごしこすることも、肌にとって良いと言える点はひとつもありません。
ワースト2. 洗い流せるオイルクレンジング
洗い流せるオイルクレンジング、洗い流す時に白く濁るタイプのオイルクレンジングは、その主原料が人工の界面活性剤であり、非常に強い洗浄力を持っています。
原理としてはカレーのお皿を一瞬にしてきれいに洗い上げるキッチン洗剤と同じですから、使い続けるといずれ肌が荒れることは明らかです。
ワースト3. リキッドクレンジング
オイルクレンジングより肌への摩擦が大きく、負担の大きさにつながります。
水のようなテクスチャーのため、肌に優しいと思われがちですが、オイル主体でないにもかかわらず油性成分であるメイクがさっぱりと落ちる時点で、非常に強い界面活性力が働いているということです。
ワースト4. ジェルクレンジング
リキッドクレンジングから肌の摩擦を引いたテクスチャーがジェルクレンジングです。
洗浄力を上げるスクラブなどが入っているものもありますが、スクラブの原料によってはせっかく軽減した肌への刺激を強めることになるのでおすすめできません。
割と強めのメイクをすることが多い人は1本持っていても良いかもしれません。
ワースト5. クリーム・ミルククレンジング
クリーム・ミルクタイプのクレンジングは、洗浄力のある乳液と考えられます。
それというのも、基礎化粧品の乳液やクリームも、水と油を混ぜ合わせた界面活性力を持つアイテムだからです。
乳液やクリームの界面活性剤を大目に配合したものがクリーム・ミルククレンジングです。
洗浄力はそれほど高くありませんが、日ごろあまり濃いメイクをしない人の日常クレンジングとしてはちょうど良いでしょう。
少し贅沢ですが、天然の乳液やクリームを使った洗顔は、さらに肌への刺激を低減できるのでおすすめです。
ワースト6. 天然石鹸
天然の石鹸は表面的で軽い汚れを落とす能力しかありません。
当然皮脂を根こそぎ奪うような強力な界面活性力もなければ、肌にしっかりと密着するウォータープルーフ、ラスティングなどのメイクを落とす能力もありません。
天然100%などのごくオーガニックなメイクの場合のみ、石鹸洗顔でオフすることができます。
ワースト7. オイル・バームクレンジング
オイルタイプクレンジングの影響で悪いイメージのついているオイルクレンジングですが、100%天然美容オイルを使った正しいクレンジングは、最も肌に優しい洗顔法と言えます。
割合しっかりしたメイクもすっきりと落とすことができますが、蒸しタオルでのオフが必須で、バーム状のものは肌の上でゆっくり溶かす必要があり、毎日の洗顔に時間をかけられない人には長続きさせるのが難しい方法かもしれません。