コスメの基礎知識

敏感肌ならもはや常識?「肌のバリア機能」の働きって何?

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肌が敏感な人もそうでない人も、一度は「肌のバリア機能」という言葉を聞いたことがあると思います。

敏感肌は、このバリア機能が弱まることによって起きるということを知っている人も、今ではかなり増えているのではないでしょうか。

 

それでは、この「バリア機能」が具体的にどんなものなのかを知っている人はどれくらいいるでしょうか。

敏感肌にとって、美肌を目指す要とも言える「肌のバリア機能」の正体についてお話ししたいと思います。

 

「バリア機能」にはいろんな意味がある

実は、一般に使われている「バリア機能」という言葉は、様々な意味で使われています。

まず、皮膚自体が「体のバリア機構」であるという意味、また、皮膚を守るバリア機能にも皮脂膜や角質層、免疫細胞など様々なものがあります。

 

「敏感肌はバリア機能が弱い」という時に使われる「バリア機能」は、皮脂膜や角質層など、皮膚自体を守っている機能のことを指しています。

 

皮脂膜、角質層など、体の外側のバリア機能に加え、免疫反応やメラニン生成など、肌のあらゆるバリア機能についてお話しします!

 

角質層は外側からの刺激や乾燥を防ぐ肌バリア

敏感肌のスキンケアで、最も重要と言われるのが、角質層のケアです。

真皮、表皮、角質層という三層構造になっている皮膚の中で、最も体の外側に位置する角質層は、表皮細胞の抜け殻と、セラミドなどが主成分の細胞間脂質、細胞間脂質に抱え込まれたNMFという水分によって成り立っています。

 

細胞の抜け殻だけでなく、油分と水分が両方含まれていることによって、角質層は水性・油性両方の刺激物に対して、簡単に侵入を許さない体制を保っています。

ここに水分や油分がしっかりと保持されていることによって、物理的刺激からのクッションとしての役割も果たしています。

 

角質層は平均でわずか0.02mmと、とても薄い層ですが、この層が少しでも薄くなったり、はがれたりすると、角質層のすぐ下に存在する表皮層という生きた細胞の層がダイレクトに刺激を受けることになってしまいます。

 

例えば普段はなんでもない髪の毛やホコリなどの刺激が炎症につながるのは、この角質層が薄くなっていたり、未熟なことが原因の1つであると考えられます。

 

角質層を守る肌バリア、皮脂膜

真皮、表皮、角質層の三層の内、角質層は生きた細胞ではなく、正式には真皮や表皮のような体の器官ではありません。

そんな角質層のさらに表面には、角質層とはまた異なるバリア機構が存在します。

それが、最近注目されるようになり始めた「皮脂膜」です。

 

皮脂膜はその名の通り、毛穴から分泌される皮脂を主成分とした膜で、角質層の表面を守っています。

もちろん生きた細胞ではありません。

分泌された皮脂が、肌表面に住んでいる常在菌などの分解を経て膜状になった皮脂膜は、単に刺激からのクッションとなるだけではなく、角質層のpHバランスを弱酸性に保つことに役立っています。

 

弱酸性のpHは、ウィルスや菌などが繁殖しにくい環境のため、皮脂膜が正常に働いていると、肌がウィルスや菌と戦う(=炎症を起こす)必要がありません。

炎症は、外的刺激から身体を守る正常な反応ですが、その代わりに酵素の働きが鈍るなど、肌に大きな痛手を負うことが多いため、皮脂膜がそれを回避するためにとても大切なバリア機能を持っていることがわかります。

 

メラニンは刺激から身体を守るバリア機能

女性の大敵であるシミ。

そのシミの素となるのがメラニンです。

 

メラニンは、いわば肌の中の日傘です。

美肌を目指すためにまず必要だと言われることのひとつに「UVケア」がありますが、皮膚に対する紫外線の害は多岐に渡ります。

・細胞の設計図を破壊する

・炎症を引き起こす

・肌を酸化させる

それらの中でも特に体にとって深刻なのが、細胞の設計図を破壊するという害です。

 

細胞にはDNAという設計図があり、分裂しても新しく生まれても、この設計図通りに成長します。

ところが紫外線の刺激を受けた細胞は、この設計図が狂ってしまい、本来とは違う形の細胞がどんどん生まれることになってしまいます。

 

この設計図の狂いは、本来ならきちんと修復され、元通りになりますが、大量に紫外線を浴びた場合など、修復がうまくいかない場合があります。

それが皮膚ガンですが、メラニンはそうした紫外線の細胞への刺激を避けるためのバリア機能なのです。

 

炎症は菌やウィルスと戦うバリア機能

ニキビや湿疹など、敏感肌の人にとって切っても切れない悩みが「炎症」です。

この炎症も、実はバリア機能のひとつです。

 

炎症は、風邪をひいた時に出る熱などと同じ、免疫反応です。

最近では、風邪でも薬を飲まずにできるだけ炎症によってウィルスを追い出す治療法が推奨されていますが、皮膚でも同じで、炎症はウィルスなどが付着した部位に熱を出し、免疫細胞を集めて肌内部への侵入を阻止し、ウィルスを退治しようとする反応なのです。

 

ただ、炎症が起こると、真皮の弾力を支えているコラーゲンネットが断ち切られる、角質層の形成不全が起こるなど、その後の肌にとって深刻なダメージが残ることもあります。

炎症を起こさないために、まずは皮脂膜を正常に保つケア(参考:第4の皮膚?!天然保湿クリーム「皮脂膜」の正体と働きとは)を始めましょう。

 

 

 

 

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