「保湿ケアはお風呂からあがって10分が勝負!」
「入浴したら、必ず早めに保湿しましょう」
入浴後のスキンケアではこのようにスピーディさが求められます。
着るものもとりあえず、急いで保湿する人、赤ちゃんがいるから10分以内なんて無理と嘆く人・・・。
ところが実は、このスピードスキンケア、必ずしも必要ではありません。
寝る前にフェイスやボディのスキンケアをじっくり時間をかけてやるタイプの人には不要なスキンケアなのです。
入浴後のスキンケアを急ぐ必要がない理由と、どうしても乾燥する人に本当に必要なアフターバスのスキンケアについてお話しします。
【目次】
入浴後はどうしてこんなに乾燥するの?
そもそも、入浴後はどうして大慌てで保湿したくなるほど肌が乾燥するのでしょうか。
これにはいくつかの原因が考えられます。
ひとつは、入浴法の間違い。
湯温が高すぎたり、長時間お湯につかっていると、皮脂や角質層内の油分が溶け出し、油分で保持していた肌水分が維持できなくなります。
もうひとつは、洗浄によるものです。
長時間入浴などによる皮脂不足は、入浴法の改善などによって軽減できますが、洗顔や体を洗うなどの行為によって、皮脂膜が洗い流されるのは避けようがありません。
入浴後の乾燥は急いで保湿するしか対処法がない?!
適切でない入浴法によって失われる肌の油分は抑えることができます。
それでも、入浴後は入浴前より必ず肌は油分を失ってしまうものなので、入浴後に乾燥を感じるのは当然のことだと言えます。
では、その乾燥が肌にとって害悪かと言えば、一概には断言できません。
洗浄後の肌は、pHバランスがいつもよりもアルカリ性に傾いています。
これは、弱酸性のボディソープを使っていても一緒です。
なぜかというと、弱酸性のものも含め、洗浄剤は程度の差こそあれ、全てアルカリ性だからです。
弱酸性のソープも、実は弱アルカリ性。
通常のアルカリ洗浄料(せっけんなど)に比べれば、どちらかと言えば賛成に近い物を「弱酸性」と呼んでいるに過ぎません。
そして、このアルカリ剤で肌を洗うと、肌を弱酸性に保っている皮脂膜が洗い流され、肌の水分はアルカリ性を強く持つようになります。
皮脂膜がなくアルカリに傾いた肌は、菌やウィルスなどの侵入を許しやすくなり、敏感な状態になります。
ただ、この状態は、そう長くは続きません。
皮脂は常に毛穴から分泌されているので、その内分解されて皮脂膜を形成し、肌も弱酸性に戻ります。
この「皮脂膜感性状態」になるまでが、皮脂が洗い流されてからおよそ15分~遅くとも2時間です。
つまり、大急ぎで保湿をしなくても、皮脂は自然に分泌されて、突っ張るほどに乾燥していた肌もいずれ元通りになるのです。
入浴後に突っ張らないボディソープ選び
前項で弱酸性のボディソープはウソだと言いましたが、比較的肌に優しいのは本当です。
アルカリ性の性質が強い洗浄料は、洗浄力が強く、皮脂や角質を洗い流してしまいます。
また、石油系の合成界面活性剤にも、肌の油を流して角質層の構造を破壊してしまうほど強力なものがあります。
もし、現在使っているボディソープで、油汚れのひどい食器をきれいに洗い流せるようなら、そのボディソープは以後使わないことをおすすめします。
ボディの洗浄で大切なのは、正中線や曲がる部分の皮脂汚れや汗による汚れを落とすことです。
お腹やお尻、背中の下部など、皮脂分泌が活発でない部位は、ボディソープを使う必要自体ありません。
ボディソープは、最低限、背中やワキの下など、トラブルが起きやすい部位のケアをきっちりしてくれる洗浄力を持っていれば、それで構いません。
入浴直後のスキンケアにはデメリットもある
実は、入浴後急いでスキンケアすることにはデメリットもあります。
それは、実際には自分の肌がどれくらい乾燥しているのか、または本当は乾燥していないのかがわからなくなってしまうからです。
入浴後、再び皮脂膜が完成するのが、遅くとも2時間後です。
皮脂分泌に問題がない人なら、わずか15分~30分程度で元に戻り、pHも弱酸性で安定します。
この時の肌状態は、1日でもあまり見ることのできない、自分のニュートラルな肌なのです。
スキンケアはこの時の肌を元に決める必要があります。
強いアルカリ洗顔やボディソープを使っていて、洗顔などの後、すぐに保湿してしまうと、自分の肌は乾燥肌なのだと思いがちですが、実は30分置いておくだけで自潤によって乾燥が治まることもあるのです。
入浴法を改善したのに乾燥が治まらない場合・・・
肌に良くない入浴法を改善し、ボディソープも変えた、入浴後2時間以上待った・・・。
それでも乾燥してヒリヒリかゆみがある人は、本当の乾燥肌と言えるでしょう。
肌内部に炎症があったり、角質層がきちんと機能していなかったりします。
敏感肌の基本ケアを心掛け、お風呂上りにはセラミド配合のボディクリームでしっかりと保湿するようにしましょう。