コスメの基礎知識

即効性コスメと遅効性コスメ、その違いとメリットデメリット

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コスメには、塗った翌日から効果を実感するような即効性のものと、長期間使い続けることによってニュートラルな肌のコンディションを改善する遅効性のものがあります。

 

敏感肌に優しいナチュラルな素材の化粧品は遅効性と言われることが多く、即効性にはリスクがありそうなイメージを持つ人も少なくはないでしょう。

 

化粧品の即効性と危険性は関係があるのでしょうか。

早く効果が出るものとじわじわ効いてくるもの、その違いとメリットデメリットについて考えてみました。

 

化粧品の効果はどれくらいで出るのが妥当?

即効性・遅効性の話をするには、本来、化粧品がどれくらいの期間で効果を出すものなのかという基本的な情報が必要です。

 

人間の肌は、内側から真皮、表皮、角質層という三層構造になっていますが、普通、スキンケア化粧品が浸透するのは一番外側の角質層までです。

(※ナノ化原料は表皮にまで浸透するとも言われていますが、ナノ化された原料がどこまで浸透するのか、またそのナノ化原料が真皮にまで達した時、安全性が確保されているのかという部分があいまいなため、ここではナノ化されていない化粧品についてのみお話しします。)

 

角質層に効果を発揮する保湿・くすみ取り化粧品などは即効性が高い

つまり、化粧品が作用するのは角質層と、表皮の最も表側の部分のみということになります。

角質層は、そのすぐ下の表皮細胞の、いわば死骸・抜け殻です。

そのため、角質層に効果を発揮するタイプの化粧品は、いわば今生えている髪をツヤ良く見せたり、手触りを改善したりするヘアスタイリング剤と同じで、即座に効果を発揮することがあります。

 

例えばセラミド配合の保湿剤は、本来角質層を構成する脂質の一部であるセラミドの代わりとなって肌水分を抱え込むので、すぐに角質をふっくらと潤わせ、キメも整います。

 

また、角質のくすみやごわつきを改善する化粧品、角質層の肥厚(厚く硬くなること)を防ぐ化粧品も、遅くとも角質層のおおよそのターンオーバー周期である14日以内程度の期間で効果を発揮します。

 

よく化粧品の広告にある「シミがポロリ」などというのは、すでに死んだ細胞である角質層に残った色素沈着(放っておいてもはがれていくもの)をはがしているだけなので、「シミが剥がれる」という表現は正しくありません。

 

表皮を守る・改善するタイプの化粧品は効果が遅い

一方で、角質層を強化することによって表皮や真皮を守り、改善するタイプの化粧品は、少なくとも表皮のターンオーバーが一巡しなければ効果を実感することはできません。

 

例えばシミは、ざっくりと言えば、表皮層の最底辺である基底層から生まれる表皮細胞の一種が、ターンオーバーの途中で酵素の働きによって「色違い」になってしまったものです。

美白化粧品の多くは、この酵素の働きを止めることによってシミになるのを防いでいるため、すでに色違いにされてしまった細胞は元には戻りません(ハイドロキノンとビタミンCには元に戻す働きがあります)。

 

表皮から角質層までの細胞がターンオーバーによって一新されるのは、健康な肌で28日、遅ければ3ヶ月はかかるので、予防タイプの美白化粧品が効果を発揮するのは、長ければ3ヶ月かかるということになります。

 

常識を超えて即効性のある化粧品は危険

化粧品は、角質層には即効性を発揮し、表皮層や真皮層には長ければ3ヶ月の「待ち時間」が必要だということがわかりました。

ただ、世の中にはその常識を超えて即効性のある化粧品が存在します。

常識を超える即効性を発揮する化粧品のメカニズムには、2つの理由が考えられます。

 

ナノ化された化粧品の安全性は確立されてるわけではない

 

1つは、最初の項目でも少し触れた「ナノ化」化粧品です。

もはや当たり前に化粧品原料として使われているナノ化原料ですが、実はあまりに小さなこの原料が肌内部に浸透し、血中に溶け出した場合、どのような影響を及ぼすのかは、まだわかっていません。

 

表皮や真皮に直接入り込んで細胞に影響を与えるため、即効性はナノ化されていない化粧品原料の比ではありませんが、安全性がよくわかっていないという怖さも理解して使用する必要があります。

 

浸透圧などを変える化粧品の浸透法は危険も伴う

ブースターなどの化粧品の中には、pHバランスを変えて、成分を表皮に浸透させやすくするものがありますが、これも肌にとっては非常に危険です。

 

肌のpHは、普段は弱酸性に保たれていて、このバランスがウィルスや菌などの繁殖を抑えています。

ところが、導入やブースターをうたう化粧品の中には、このpHバランスを意図的に変えて化粧品をより早く深くまで浸透させようとするものがあります。

 

当然、ニキビができる、化膿するなどのトラブルが起きやすくなり、とても危険です。

 

化粧品にはいち早く効果を発揮してほしいもの。

ただ、保湿やくすみなど角質層の悩み以外は、即効性があだとなることも考えられるのです。

シミやたるみなどの深い悩みは、角質層のケアと共に、じっくりと腰を落ち着けて付き合う必要がありそうです。

 

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