生を受けたその瞬間から、その場を動くことなく変化する環境に耐える植物。
そんな植物は、厳しい環境変化や直射日光から自らを守るためのたくさんの栄養素を生み出します。
ケミカルの即効性と安定性一辺倒だった90年代から一変、2000年以降からは植物の持つ力が再注目されています。
そんな中でも、美容専門家たちが効果と使い勝手の上で最も信頼を置いている存在が、オイルです。
今回は、そんな植物オイルの中でも、特におすすめの注目オイルをご紹介します。
【目次】
奇跡の木から生まれるモリンガオイル
食べるオイルとして大ブレイクしたココナッツオイルブームの裏で、幅広い使い方ができる美容オイル「モリンガ」が美容に敏感な人たちの間でひそかなロングセラーとなっています。
モリンガは、北インド原産の植物で、アフリカでは「奇跡の木」と呼ばれ、古くから薬として親しまれてきたハーブです。
日本でも沖縄などの亜熱帯地域で栽培されているので、比較的簡単に国産原料が手に入ります。
モリンガは、その花から茎、葉や根に至るまで、すべての部分が食用になります。
そしてそのどの部位にも豊富な栄養が含まれているため、そのまま野菜として食べる地域もあるのだそう。
不思議なことに、モリンガには不純物を取り除き、水を浄化する働きがあるので、食中毒の予防としても利用されていました。
モリンガには、わかっているだけでも90種を超える栄養が含まれています。
その中でも肌に良い効果をもたらしてくれるのは、ポリフェノールが持つ抗酸化作用です。
亜熱帯出育つモリンガには、高い効果を持つ抗酸化物質が含まれています。
紫外線に負けない肌を作りたい、シミや老化肌が気になる・・・という人にぴったりのオイルです。
乾燥と紫外線に立ち向かう木から生まれた、マルラオイル
南アフリカを原産とするマルラオイルは、日本の7倍とも言われる強い紫外線と、砂漠の多い土地柄特有の乾燥にさらされるようにして育ちます。
そのため、マルラの木から取れるオイルには高い保湿効果と抗酸化作用が認められています。
熟すと自然発酵して天然のお酒になるため、現地ではマルラの実を好んで食べる象やサルなどの動物がフラフラになっている姿が見られるそうです。
もちろん人間にとってもとてもおいしいこのマルラの実は、南アフリカの名物リキュール(果実や砂糖などを使った混成酒)になっています。
日本でも人気の高いマルラのリキュール・アマルーラですが、その人気の理由は香り高さ。
マルラの果皮には豊富なアロマ成分が含まれていて、敏感肌の原因にもなる自律神経バランスの崩れに効果があります。
また、マルラオイルは全植物オイルの中でも特に優れた保湿効果を持ち、プロアントシアニジンの働きによって、シミや肝斑のメラニンを還元する能力があるのです。
脂性肌でも保湿したい!を叶えるスクワランオイル
様々な化粧品に配合されているので、すでに知っている人も多いかもしれませんが、スクワランは動植物に元々ある成分「スクワレン」を安定化させた成分です。
元々人間の体内にもある成分だけに、とても肌なじみが良く、べたつかない使用感が特徴です。
角質層のさらに表面で肌を守る皮脂膜を構成するオイルでもあるので、皮脂分泌が減少する冬の肌にもぴったりです。
化粧用に使われているスクワランは、オリーブオイルやベニバナオイルから抽出されています。
スクワレンは酸化しやすいオイルですが、水添スクワレンであるスクワランは保存の効くオイルです。
マルラ同様、organic由来でも長期の使用に耐えてくれる使い勝手の良さも人気の秘密ではないでしょうか。
かゆみ肌の強い味方、クルミ(ウォールナッツ)オイル
食用としてはすでに定番のクルミオイルですが、アロマ(精油)の世界では、乾燥性敏感肌やかゆみ肌にぴったりのオイルとして知られています。
モリンガやマルラほど強力ではありませんが、豊富な抗酸化作用を持っていることでも知られるクルミオイルには、肌の再生促進、保湿、かゆみを抑えるなどの効果があります。
また、肌以外にも頭皮のマッサージや朝のスタイリングなどに使うことによって、髪や頭皮の乾燥を防ぎ、髪のボリュームを支えてくれるといううれしい効果があります。
鉄、銅、亜鉛、セレニウム、マグネシウム、カルシウム・・・と豊富なミネラルを含むクルミは、豊かな黒髪を美の象徴としていた古代中国で、美髪オイルとして重用されていたそうです。
みなさんご存知の通り、食べてもとてもおいしいクルミは、豊富なビタミンとαリノレン酸が含まれているので、食用オイルとして使っても、肌や粘膜の修復を助け、アレルギーやアトピーなどの改善が期待できます。
(食用と肌用のオイルは精製度などが違うので、別々に買い求めてくださいね!)
これから春にかけて、気候ががたつき始めます。
季節の変わり目にも揺らぐことのない肌を目指して、植物のパワーを借りてみてはどうでしょうか。