活性酸素の働きによって細胞が変質してしまう酸化。
分解しきれなかった糖によって細胞が変異してしまう糖化。
酸化に抗う抗酸化物質が配合された化粧品は、アンチエイジングコスメとして、もう市民権をえていますが、抗糖化化粧品というと、「そんなのあるの?」と思う人も多いでしょう。
一度変質しても、抗酸化物質によって還元(細胞を元の姿に戻すこと)することが可能な酸化とは違い、糖化した細胞は元に戻すことができないため、いかに糖と細胞を結びつかせないかが抗糖化化粧品の働きにとってカギとなります。
あまり聞き慣れない抗糖化化粧品について探ってみました。
【目次】
酸化と同じく、糖化に抗うには植物の力が必要
酸素や活性酸素と物質や細胞が結びついて起こる酸化は、植物が生み出す抗酸化物質によって予防でき、また、ビタミンCなどによって還元できることがわかっています。
これと同じように、植物の中には糖化に抗う物質を持つものもあり、糖化によってAGEs(終末糖化産物、糖化最終生成物)が生成されるのを防いでくれます。
正確に言えば、植物が持つ強力な抗酸化物質の中に、糖化に抗う能力を併せ持つものがあり、その成分のほとんどは抗酸化物質でもあります。
人間や動物などの生物の体内で細胞が糖化するには、多くのルートがあります。
1つの抗糖化物質によって1つのルートを防いでも、他のルートに回り込んで糖化してしまう可能性もあります。
そのため、抗糖化能力を持つ抗酸化物質は、できるだけ多種類を一度に使うことが、効果的に糖化を邪魔する方法なのです。
抗糖化能力を持つ植物成分
まだまだ知名度の低い抗糖化成分ですが、これまで化粧品に配合されてきたなじみ深い植物成分にその能力があるという場合もあります。
比較的手に入りやすい抗糖化成分は以下のようなものです。
カミツレエキス・カモミラエキス
ハーブとしても親しまれてきた、長い歴史を持つ美容成分カモミールには、美白(医薬部外品有効成分認定)や抗酸化などの働きの他に、抗糖化作用もあります。
過剰な炎症やアレルギーを引き起こす原因とも言われるNF-κBの働きを抑える効果もあり、これまで以上に注目の成分です。
セイヨウオオバコエキス(アブソレージ)
漢方生薬成分ではシャゼンシとも呼ばれます。
消炎・鎮痛の効果を持つハーブ・生薬で、飲めば風邪にも効きます。
チャエキス
日本人にはおなじみ、国産化粧品にもよく配合されていて、美白や抗酸化作用が有名です。
抗糖化作用を持っているのはビタミンCではなく、ポリフェノールの一種で、お茶の渋み成分でもあるカテキンです。
リンゴエキス
ポリフェノールの含有量が豊富なことで有名なスーパーフルーツ、リンゴにも抗糖化能力があります。
食べてももちろん糖化を阻害してくれますが、化粧品成分としても、生薬・ハーブとしても糖化に役立ってくれます。
コメ・ライスエキス
日本では昔から美肌成分として親しまれていて、ライスフォース、SKⅡなどの主要成分として絶大な人気があるコメエキスにも抗糖化作用があります。
GI値が高いので食べすぎると逆に糖化してしまいますが、化粧品として使う分にはその能力をいかんなく発揮してくれます。
ダイズエキス
女性ホルモンに似た働きをするダイズイソフラボンを含み、肌をふっくら女性らしくしてくれることで多くの化粧品に配合されているダイズエキスにも抗糖化作用があります。
ここに挙げた中でも一般的に販売されている化粧品に配合されていることが多いメジャーな成分なので、何も知らずに買った化粧水に含まれていたということもあるかもしれません。
コウキエキス
コウキの葉から取れるエキスで、メラニン色素の抑制作用、抗炎症作用、解毒作用などを持っています。
敏感肌の症状でもある、肌内部の微弱炎症に作用して、敏感肌のサイクルを止めてくれる効果もあります。
抗糖化だけではなく、たくさんの美白効果が期待できる成分です。
オリーブエキス・オリーブオイル
日差しの強い条件で育つオリーブには抗酸化物質が含まれていることが有名ですが、そのエキスやオイルには抗糖化作用があります。
オイルはそのままでクレンジングにも簡易的な日焼け止めにもなり、エキスはここに上がったどの植物よりも化粧品に含まれることが多い保湿剤として知られています。
シモツケソウエキス
消炎効果、角質層柔軟効果を持つバラ科の多年草、シモツケソウから取れるエキスです。
抗酸化物質フラボノイドが含まれていて、糖化を防ぎます。
複数の抗糖化成分を配合した化粧品で酸化&糖化と戦おう
様々なルートからAGEsを生み出す糖化。
様々な活性酸素によって細胞を変えてしまう酸化。
それらに抗う物質をできるだけたくさん利用して、八方ふさがりにしてしまうのが肌の老化や細胞劣化を防ぐ早道です。
抗酸化物質は植物のエキスには少量でも必ず含まれていて、その中には抗糖化作用があるものも少なくありません。
できるだけたくさんの植物成分が入った化粧品を使って、きれいなエイジングを目指しましょう。