ここ数年で注目されはじめ、最近ではCMでも話題の幹細胞コスメ。
「幹細胞」という専門的なワードのイメージから、医療レベルで肌を改善してくれそうな期待を寄せている人も。
この幹細胞コスメは本当に私たちの肌を救ってくれる救世主となるのでしょうか。
圧倒的とも言われるその効果や根拠について調べてみました。
【目次】
幹細胞コスメって、どんなもの?
異色の名称を持つ話題の美容成分「幹細胞」。
これまで話題になったセラミドやコエンザイムQ10などのような成分名ではなく、細胞を感じさせる呼称のインパクトは強いです。
漠然となんだか科学的ですごそうな印象がありますが、その実態はどういう成分で、どういう効果を持つものなのでしょうか。
そもそも「幹細胞」って何?
多くの人が抱いているだろう「幹細胞」ってなんだという根本的な疑問。
この幹細胞は難し気な響きとは裏腹に、とても身近なものなのです。
幹細胞とは、生物を形成する無数の細胞の内、分裂して様々な役割を持つ細胞となったり、全く同じ形状のものを増やすことができる細胞のこと。
私たち人間は、元々1つの細胞です。
この私たちの種となる細胞は、当然分裂して増えることができます。
つまり私たち自身が幹細胞からできていると言っても過言ではありません。
このように、幹細胞とはとても広い範囲の細胞のことを指す言葉なのです。
幹細胞コスメは幹細胞に働きかけるものと幹細胞の効果を借りるものの2通り
一口に幹細胞コスメと言っても、その種類は多岐に渡ります。
ここでは幹細胞に働きかけて増殖を促すタイプの「自身は幹細胞に関係のない成分」と、幹細胞培養液から抽出され、その効果によって皮膚細胞の活性化を促すタイプの「自身も幹細胞に関連する成分」の2つに大別し、それぞれについてお話しします。
自身は幹細胞に関係ない成分
カミツレエキスに代表されるのが、皮膚の基底層から生まれる2種類の幹細胞の内、TA-幹細胞の増殖を促す効果のある植物エキスです。
この成分はこれまでも医薬部外品美白有効成分「カモミラエキス」「カモミラET」などの名で化粧品に配合されてきました。
植物名はカミツレ、カモミールなどの名が有名で、古くから美容に有効なハーブとして使用されてきたものです。
臨床試験において効果が実証されている成分です。
自身も幹細胞に関連する成分
こちらは正式には「幹細胞培養液成分」と呼ばれ、幹細胞から分泌される特殊なタンパク質を抽出したものです。
ここで使用される幹細胞は動物由来、植物由来の両方が存在します。
動物由来で最も有名なのはヒト由来、植物成分では「奇跡のリンゴ」由来の幹細胞成分が有名です。
海外ではすでに自身も幹細胞成分であり、幹細胞に働きかけるという、両者の特徴を兼ね合わせた成分も化粧品成分として採用され始めています。
日本にも数年のうちに到来することは確実でしょう。
幹細胞コスメの実力…その効果って?
「幹細胞」や「幹細胞コスメ」についてはぼんやりとでもお分かりいただけたと思います。
それではその幹細胞コスメをスキンケア成分として使った時の効果や副作用などの心配についてお話ししたいと思います。
幹細胞コスメの効果と副作用
前項でもご紹介した通り、幹細胞コスメは2タイプに分かれます。
カミツレエキスに代表される「幹細胞に働きかける」成分は、表皮の最奥、基底層という部分で生まれる2種類の表皮細胞の内、TA-幹細胞に働きかけます。
このTA細胞はストレスによって老化が速まり、増殖する能力自体も低下してしまいます。
簡単に言えば、ストレスを受けると簡単にターンオーバーに遅れが生じる細胞であるということです。
2種類しかない表皮幹細胞の内1種類にターンオーバーの乱れや老化が起これば、当然表皮は年齢以上に老化が進みます。
カミツレエキスはこのTA細胞の増殖を促す力を持っていて、さらに、TA細胞の老化を遅らせる効果をも持っているため、ターンオーバーの遅れによって引き起こされていた色素沈着や治癒力低下などの問題が大幅に改善されることが考えられるのです。
ただ、その能力から、先日お伝えした乾癬やアトピー性皮膚炎など、細胞の異常分裂やターンオーバーサイクルの異常な速まりによって引き起こされているタイプの皮膚症状に使用するのは避けた方が良いかもしれません。
植物や動物から採取した幹細胞タンパクを配合した化粧品は、これまでにも単離抽出された成分が化粧品業界のみならず、医学界を騒がせてきた歴史があります。
EGFやプラセンタエキスと言えば、聞いたことがある人も多いと思います。
これらの成分は「成長因子」と言って細胞の分裂や成長を促す効果が認められている成分です。
幹細胞コスメに使用される幹細胞培養液とは、それらの成長因子やコラーゲンなどのタンパク質を含む複合的なタンパク質のことで、効果もやはりそれらを複合したものが期待できます。
副作用はないとされていますが、一般的な化粧品と同じようにアレルギー反応などがある場合もあるので、植物由来、動物由来ともにパッチテストを行ってから使用してくださいね。