夏場と冬場で化粧品を変えている乾燥性敏感肌の人にとって、冬の化粧品選びで気になるのが、フェノキシエタノールなどのアルコールが含まれていないかということだと思います。
アルコールは肌の水分を奪って揮発するので、夏場はスーッとして快適ですが、乾燥する季節にはつらいという人も多いのではないでしょうか。
一方で、日本では戦前から日本酒が美肌成分として人気で、保湿にも高い効果があるとされています。
お酒は美肌成分で、アルコールは乾燥肌に刺激が強い・・・。
どこからどこまでがセーフなのかがわからない!という人もいるのではないでしょうか。
今回は、そんな「アルコール」に類する成分の違いと肌への影響についてお話しします。
【目次】
化粧品に処方される「アルコール」とは?
一般的に「揮発性が高いので乾燥肌には刺激が強い」と言われている化粧品成分の「アルコール」とは、エチルアルコールのことを指しています。
エチルアルコールとは別名エタノールのことで、強い殺菌・消毒効果があるため、化粧品や食品の添加物として配合されていることが多い成分です。
刺激が強いと言われるのにはいくつかの理由があり
・揮発性が強く、肌の水分を奪ってしまう
・強い殺菌力によって細胞膜を傷つける
・変性アルコールなどにはエタノールよりもさらに強い刺激を持つ化合物(メタノールなど)が変性剤として添加されている
などが主なものになっています。
エタノールの中でも、現在化粧品に最もよく配合されているフェノキシエタノールは意外にも天然成分で、お茶にも含まれているくらい刺激の少ないものです。
敏感肌にもOKなエタノール成分:フェノキシエタノール
化粧品に配合されている「日本酒」とは
一方、日本人の間ではすっかり美肌成分として親しまれている化粧品成分「日本酒エキス」は、実はアルコールを含むものと含まないものがあります。
「日本酒エキス配合」などのコピーがある化粧品に配合されている日本酒エキスとは、実際には米発酵液や米発酵エキス、アルコールを含まないライスエキスであることがほとんどです。
この米発酵液、米発酵エキスという成分は、米をエタノールによって発酵させたものなので、出来上がった成分から意図的にアルコール分を飛ばさない限りはエタノールを含んでいるものなのです。
そのため、甘酒のような香りが化粧品から漂ってくることもあります。
菊正宗や大吟醸酒などのような、出来上がった日本酒が由来の成分は、エタノールと言っても変性アルコールのような刺激の強いアルコールではないため、フェノキシエタノール同様、配合量が多すぎない限りはそれほど敏感になることはないでしょう。
敏感肌にもOKな日本酒成分:実際のに日本酒を使った成分
米発酵液・ライスエキスなど、日本酒由来成分の美肌効果とは
一般的にアルコールと呼ばれる化粧品成分と、日本酒由来の化粧品成分の違いが分かっていただけたと思います。
意外にも、日本酒由来成分のほとんどは、アルコールを含んでいるものなのですね。
そんな日本酒由来成分の代表的な美肌効果と、日本酒成分にぴったりの肌質をご紹介します!
日本酒由来成分の美肌効果
美肌成分としての日本酒が注目され始めたのは、「杜氏の手が白く滑らかだったから」という逸話はもはや有名な話です。
これは、米発酵液に含まれるコウジ酸の働きによるもので、この成分は医薬部外品有効成分として厚労省の認可も得ています。
また、元は植物エキスですから、抗酸化作用もあります。
植物セラミドやビタミンB1、B2を含んでいることも多く、角質層の保湿にも適しています。
一方で、リンゴ酸という成分を多く含んでいる場合があり、この場合、酸の働きによって角質層を柔らかくはがれやすくしてしまうので、セラミドの効果は帳消しになってしまいます。
米発酵液などの日本酒成分が向いている肌
日本酒成分はアルコールを含んでいることもあり、やはり冬の肌や乾燥肌には十分気を付けて使う必要があります。
その一方で、ニキビ肌には高い改善効果があります。
それというのも、日本酒成分には前述の通りリンゴ酸の働きによって角栓や余分な角質を柔らかくして、アクネ菌が毛穴で増殖する環境を改善してくれるからです。
また、米発酵液中に残ったアルコールがすでに繁殖してしまっているアクネ菌を殺菌することで、ニキビの悪化を押さえてくれます。
また、冬には乾燥に注意すべき化粧品成分ですが、夏にはぴったりの成分でもあります。
ビタミンB2は皮脂をコントロールする働きがあり、米の抗酸化作用が紫外線による酸化を防いでくれます。
米発酵液に含まれるコウジ酸は美白有効成分なので、うっかり日焼けしてしまった後のケアにも最適です。
アルコールと日本酒成分の大きな違いは、美容成分を含んでいるかいないかというところにあるのではないでしょうか。
米由来の日本酒成分は、日本人の肌に合う様々な美肌成分を含んでいます。
自分の肌とよく相談して、最大限効果を実感できる使い方をしたいものですね。