抗シワ、抗くすみ、大人ニキビ対策などに良いと人気の化粧品成分、レチノール。
アンチエイジング化粧品には高確率で配合されていて、気になっている人もいるのではないでしょうか。
高い効果を期待できるレチノール。
その一方で、肌が乾燥する、敏感肌が悪化したなどの副作用の声もあります。
レチノールが高い効果を発揮する理由や副作用の理由、敏感肌でも使用に問題がないのかを調べました。
レチノールってどんな成分?
アンチエイジング化粧品が流行し始めてすぐにその成分欄の常連となり、信頼を勝ち取ってきた定番成分、レチノール。
このレチノールは、実はビタミンA誘導体のことなのです。
ビタミンA誘導体と言えば、医薬品の有効成分であるハイドロキノンとペアで使われる医薬品、トレチノインを知っている人は多いのではないでしょうか。
化粧品成分のレチノールは、このトレチノインとよく似た働きをする、効果のマイルドな成分と考えて間違いないでしょう。
ビタミンAやその類似物質には、肌のターンオーバーを促す働きがあります。
通常28日で一巡する肌細胞は、年齢と共にそのサイクルが遅れがちになると言われています。
もちろん、そのサイクルは早すぎても肌には良くありませんが、滞ることによって死んだ肌細胞である角質が毛穴に詰まってニキビを引き起こしたり、肌のくすみやカサつき、チリメンジワが目立つようになったりします。
化粧品に配合されているレチノールは、トレチノインの効果を1/100に薄めたくらいのものです。
トレチノインは医師の管理の下で使用に気を遣って塗布する必要のある、少し怖い薬ですが、化粧品に配合されているものは滞ったターンオーバーをサポートしてくれる味方になってくれることの方が多いのです。
レチノールで副作用?敏感肌に使っても大丈夫?
すでに人気もあり、定番化しているレチノールですが、名前の似たビタミンC誘導体とは違い、使用に注意が必要な面があります。
それは、レチノールの持つターンオーバー促進作用そのものについてです。
レチノールは遅れた代謝を促進してくれますが、一方で遅れていない代謝も促進します。
ターンオーバーは28日周期が基準と言われていますが、これは最も肌が強くきれいな20代のターンオーバー周期です。
実はそれより若い10代の子供のターンオーバー周期は20日前後が普通で、肌が未熟な状態で角質となっていることがわかります。
そのため、10代の肌は20代に比べ、薄く、もろくなっています。
皮膚の細胞は、生きている細胞が死んでしまうまで(角質になるまで)が14日、そこから垢となって剥がれ落ちるまでが14日という生涯を送ることが理想です。
細胞が生きている期間が短いと、成熟することなく角質となりますが、この角質は角質層となれずに剥がれ落ちる可能性がとても高いのです。
それというのも、生きている細胞は、死ぬまでに酵素の影響などを受けて変化するのが普通ですが、ターンオーバーが早すぎると、細胞があるべき変化を迎える前に死んでしまうことになります。
通常の変化を遂げることができなかった細胞は、死んで角質になっても、本来接着剤となるはずの細胞液が育っていなかったため、剥がれ落ちるしかありません。
これが、アトピーや乾癬を患った肌に角質層がない理由で、ぽろぽろとしきりに皮膚が剥がれ落ちてくる理由でもあります。
アトピーなどの患者の皮膚は、なんと2週間でターンオーバーしています。
そんな肌にターンオーバーを促進するレチノールを使ってしまったら・・・。
刺激にしかならないのは想像に難くありませんよね。
つまり、レチノールは乾燥がちで、角質が薄い、肌がいつもかゆくて赤っぽいという肌には向きません。
でも、常にニキビがあるような脂性肌にはとっても効果があるのです。
レチノールにはいろんな種類がある
ちょっと取り扱い注意な面もあるレチノール、実は医薬品から医薬部外品、化粧品に類似物質と、たくさんの仲間があります。
その一部をご紹介します。
自分の肌状態と相談して、ぴったりのレチノールを見つけてくださいね。
医薬品
【トレチノイン】
シミ消しの薬としてハイドロキノンと交代で処方されることの多い医薬品です。
劇薬であるハイドロキノンと同じで、一か八かの要素が強い薬です。
【ディフェリンゲル】
ニキビに処方される医薬品です。
レチノールではなく、類似物質であるアダパレンを配合した薬です。
医薬部外品
【純粋レチノール】
今年始めて医薬部外品に配合された新しい化粧品成分です。
「シワ改善効果がある」と認められた初めての医薬部外品有効成分です。
化粧品
【パルミチン酸レチノール】
皮膚に存在するビタミンAの主成分。
化粧品に配合されているレチノールの多くがこのパルミチン酸レチノールです。
【酢酸レチノール】
その名の通りレチノールに酢酸を加えて安定させた成分です。
安定性に欠けるレチノールを、安定した状態に保つことができるため、肌への刺激も少なくて済みます。