コスメの基礎知識

化粧品に配合されている着色剤・顔料の見分け方とその役割とは

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特にメイクアップコスメにとっては欠かすことのできない存在が着色料です。

顔料といういい方もされますが、その違いや危険性などは、何となく不透明な感じがしますよね。

 

毎日のメイクで、何時間も肌に接する色素とは何なのか、肌に危険はないのかを調べてみました。

 

着色料・顔料とは

化粧品に色を付けるための成分のことを色剤・着色剤と言います。

色剤や着色剤というのは、色を付ける原料の総称で、その中に顔料や色素が含まれます。

 

色材は大きく分類すると、天然色素、無機顔料、有機合成色素の3つに分けられます。

 

天然色素

その名の通り、動植物から取れる天然の色素です。

ベニバナやブドウ果皮、ウコンやシソなどの色素は、化粧品成分表示にも頻繁に登場するので目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

天然色素は自然界が想定しないような効果や副反応を引き起こさない代わりに、着色効果が弱く、組成が複雑すぎるためアレルギーを引き起こす可能性の高いものもあります。

 

また、紫外線や熱などに弱く、変色・変質しやすいのも特徴です。

肌に刺激が少ないものが多い一方で、製造・保存・使用法が難しいという難点を抱えています。

 

無機顔料

色素の原料となる粉末である顔料の中でも、無機物でできたものを無機顔料と呼びます。

無機物とは、大雑把に言えば生物から生まれたものではない物質のこと。

 

現在では合成のものも増えていますが、その多くは鉱物を原料とするものです。

天然色素と比較して、変色・変質しにくく、紫外線にも強いのが特徴です。

 

また、水にも皮脂にも溶けず、光を通さない性質を持っているので、紫外線散乱剤として化粧品に配合されることも多いのが無機顔料です。

 

・白色顔料・・・酸化チタン、酸化亜鉛

・パール顔料・・・魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス

・体質顔料・・・マイカ、シリカ、タルク、カオリン

・着色顔料・・・グンジョウ、酸化鉄

という4つに分類されます。

紫外線散乱剤として使用されるのは白色顔料の酸化チタンや酸化亜鉛ですが、粒子の大きい白色の顔料であるため、他の色を混ぜ合わせるなどの対策を講じなければ、白浮きが目立つという難点があります。

 

有機合成顔料

一般に危険と言われることの多いタール色素は、この有機合成色素の一種です。

天然色素や無機顔料では表現できる色数が極めて限定されます。

そのため、鮮やかな色や繊細な表現は、有機合成によって生み出されていることが多いのです。

 

タール色素は石炭を原料とするコールタール中に含まれる色を出発原料として作られる色のことですが、少し前までは、このタール色素が化粧品色素の中でも最も多く使用されていました。

かつてよく見かけた「青色○号」「黄○号」という色と号数で表される色素がタール色素です。

タール色素とは呼ばれていますが、現在の原料は石油を精製する際に生じるナフサという有機化合物が原料となっています。

 

日本では一般的に浸透していますが、タール色素の多くは、海外では発がん性や甲陽線への影響を指摘されていて、使用の制限を課されています。

 

肌に影響がある・体に悪影響・・・危険な色素って?

海外では完全に悪者とされているタール色素ですが、日本では食品に対しても12種類のタール色素が添加を許可されています。

化粧品では38の法定色素(医薬品に使用する許可を得ている有機合成顔料)の内、特に安全性の高いものを使用していますが、その中にもアメリカやイギリスでは明確に使用が禁止されているものがいくつもあります。

 

また、海外ではタール色素として扱われるものの中に、日本ではタール色素ではないとされているものもあります。

イギリスでは、日本国内ではタール色素として扱われていない「カルモイシン」や「キノリンイエロー」などを含む6つの色素が発達障害の原因となり得る可能性が食品基準庁(FSA)から発表されています。

 

赤色40号と赤色102号、黄色4号、黄色5号なども同様で、現在EU全体では、薬事法改定以前の日本で表示が義務付けられていた成分「表示指定成分」と同じような取り扱いとなっています。

 

タール色素だけが危険なわけじゃない

化粧品に使われる色素の中でも飛び抜けて危険視されているのはタール色素ですが、天然色素の中にも肌にとって危険性を持つものがあります。

 

例えばカイガラムシの一種であるエンジムシから取れるコチニール色素は、2012年に消費者庁から注意喚起が発表されています。

その理由は、エンジムシのタンパク質が、抽出された色素中にごく微量混ざることがあるため、タンパク質アレルギーの人はアレルギー症状を起こすかもしれないというものです。

 

また、セイヨウアカネを原料とするアカネ色素に発がん性が見つかって、使用禁止になったという歴史もあります。

天然というと、100%安心のように思えますが、動植物にも人間や個人と合わない成分はありますので、合う合わないを事前にサンプルなどでチェックすること、パッチテストを行うことを忘れないようにしましょう。

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