女性らしさをつかさどるホルモン、女性ホルモン。
容姿の美しさはもちろん、生理・妊娠・出産などの能力をアップさせ、自律神経のバランスにも深く関わってくるなど、女性の人生そのものにも大きな影響を与えるのがこの女性ホルモンです。
美容に関心のある人だけではなく、多くの女性がその分泌を活発にしようとしている女性ホルモンですが、1人の女性の一生で分泌されるおおよその量を知っていますか?
女性の一生に分泌される女性ホルモンは、なんとティースプーン1杯分程度と言われているのです!
ほんの少しで絶大な効果を発揮する女性ホルモンの仕組みとバランスを、生理や肌の調子などが揺れる月のめぐりに照らし合わせてみていきましょう。
女性ホルモンは2種類が表裏一体となって働く
女性の肌ツヤや体調に深く関係する女性ホルモンには、2つの種類があるのを知っていますか?
2つのホルモンはエストロゲンとプロゲステロンと言って、いわゆる「イイ女ホルモン」はエストロゲン、「良き母ホルモン」がプロゲステロンという風に役割が決まっています。
髪や肌をツヤツヤにして女子力をアップさせてくれるエストロゲンの分泌を増やしたい女性は多く、ニキビができやすかったり、外的刺激に敏感になって体調を崩しがちなプロゲステロンを嫌う人もいますが、この2つは、どちらかを極端に増やしてどちらかを減らすことによって、女性の体調はバランスを崩してしまうことになります。
つまり、エストロゲンを増やす、プロゲステロンを減らすということではなく、女性ホルモンのバランスをよくするのが、健康な美肌美人への近道になるのです。
ムーンサイクルと人生のホルモンサイクルを知って付き合う重要性
女性の体調には波があります。
比較的リズムが単調な男性と違い、女性は初潮以降、そのリズムに支配されると言っても過言ではありません。
体調は、当然肌のコンディションにも影響しますので、毎月の女性ホルモンのサイクル「ムーンサイクル」と、生涯で女性が経験する女性ホルモンバランスのサイクルを理解し、上手に付き合うことがホルモンバランスの乱れによる敏感肌と向き合う上で大切です。
女性の人生で起こるホルモンの大きな波
およそ10歳頃に初潮が始まると、女性は女性ホルモンの大きなうねりに飲み込まれます。
定期的に訪れる不調の波は、正体を知らなければとても不安で、対処の難しいもの。
ただ、女性ホルモンの乱高下は、ある程度予測が付くものです。
人生という大きなスパンで女性ホルモンが大きく波打つ時期を確認しておきましょう。
<10歳~20歳>
いわゆる思春期です。
エストロゲン・プロゲステロンを問わず、女性ホルモン自体がそれまでより急激に分泌されるようになり、環境変化が多いことも相まって、体調・肌・精神共にとても不安定になります。
生理がまだ定まらない人も多いでしょう。
<20歳~40歳>
この時期はホルモン分泌が安定し、その人特有の分泌リズムやサイクルが定まってきます。
最も女性ホルモンの分泌が活発になる時期でもあります。
体調や肌に気を遣うようになる人や生活リズムを気にする人も増えるので、ホルモンの波とも上手に付き合える人も出てくるでしょう。
一方でこの年齢は妊娠や出産によって、せっかくつかみかけていたムーンサイクルを大きく乱されてしまうことも多く、その乱れ自体がこれまでに感じたことがないほど大きいため、体調だけではなく、精神面でも大変な思いをすることがあります。
<40歳~50歳>
30歳の後半から、女性ホルモンの分泌は下降し始めます。
思春期には急激な上昇によって不安定になっていた心身が、今度は下降によって似た状態に陥ります。
女性ホルモンは脳の視床下部でコントロールされていますが、隣り合う自律神経にも影響を及ぼし、更年期障害と呼ばれる症状を引き起こします。
更年期障害が「大人の思春期」「思秋期」と呼ばれるのは、思春期と原因を同じくするからです。
<50歳~60歳>
閉経後、女性ホルモンは初潮前の分泌量と同程度まで下がり、そこで安定します。
体調にも肌にも波がほとんどなくなり、それぞれのケアによっては、思春期や更年期の頃よりトラブルの少ない肌でいることも難しくありません。
このように、女性の人生の内、意識しなくても女性ホルモンが安定して落ち着いているのはほんのちょっとの間です。
体調や肌があまり乱れない女性は、そうしたサイクルとうまく付き合っていると言えるでしょう。
1ヶ月の中で起こる女性ホルモンのサイクル
1ヶ月の中で起こる女性ホルモンのサイクルは、排卵を中心に4つの状態に分けられます。
月経周期はおよそ28日が平均なので、厳密には1ヶ月より短い期間でワンサイクルしていると考えてください。
4つの状態は大体7日という均等なスパンでめぐってきます。
排卵の後、女性ホルモンは「良き母ホルモン」であるプロゲステロン優位になります。排卵からの1週間は緩やかに分泌が増え、その後の7日で一気に増えます。
排卵から月経までの14日間の中でも、後期にあたる生理前の1週間は、妊娠しているという前提で、身体は外的刺激を徹底的に排出しようとするため、ちょっとした刺激にも敏感になります。
一時的な敏感肌とも言えますが、この時期には外的刺激や食べ物に気を付ける必要があるということですね。
その後、生理が始まると「妊娠していなかった」ということを体が認識し、過敏症状は落ち着きます。
この期間に、「イイ女ホルモン」であるエストロゲンが上昇し始め、排卵までの7日間を元気で魅力的な美人として活動させてくれるのです。
そう考えると、女性は「イイ女」でいる期間の方が圧倒的に短いのです。
人生を通しても、1ヶ月のサイクルとして見ても、プロゲステロンが活発になっているときは、肌も気持ちも攻撃的になるのが特徴です。
わたしたち女性は、子供が生まれる前どころか、妊娠するずっと前から赤ちゃんを守る気持ちがとても強い「過保護な母親」だということですね。
でも、その期間をどうやって過ごすかによって、「イイ女ホルモン」であるエストロゲンの働きも変わってきます。
プロゲステロンが優位の間に過敏に反応してしまった体や肌の炎症は、エストロゲンが優位の「イイ女期」にも影響します。
カレンダーや手帳に排卵や生理をつけるようにして、排卵が終わったらあまり無茶をしないことが大切です。