資生堂が行った2015年の調査(参考:http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/030400281/)によると、20代~50代の女性の内約8割は敏感肌を自認しています。
ほとんどの女性が戦っている「敏感肌」という敵。
立ち向かうためにはまずその正体を知る必要があります。
敏感肌という自分の肌状態を知って、負けない肌を育てましょう。
そもそも敏感肌とは、どんな状態?どんな肌の事?
敏感肌というと、多くの人が「肌表面の問題」と感じることでしょう。
ところが敏感肌とは表面にクリームを塗ってすべてが解決する単純な問題ではありません。
実は季節の変わり目や生理前に体調を崩すのと同じく、免疫や脳などに深くかかわる根の深い問題なのです。
多くの人が仕方のないものとして諦めている生理前のニキビや季節の変わり目の痒みや乾燥、長時間紫外線を浴びた後の色素沈着も、実は敏感肌の症状のひとつです。
髪や衣服が肌に触れて炎症を起こす、湿度が下がると粉を吹く。
これは皮膚内部ですでに一触即発状態だったものが、きっかけを与えられて表面化したにすぎません。
シミも乾燥もニキビもきっかけと結果が違うだけで敏感肌であることに違いはありません。
ですから季節の変わり目だけだから、冬の間だけだから敏感肌ではないということではなく、何らかのきっかけで同じようなトラブルを繰り返す肌、いったん起こった問題が改善されない肌は、どちらも敏感肌と呼ぶことができるのです。
敏感肌の症状
敏感肌の症状は多岐に渡ります。
代表的なものである慢性的なニキビや化粧品かぶれ、シミや乾燥も敏感肌によって引き起こされる場合があります。
肌に何らかのトラブルが起きることは敏感肌に限らず起こることですが、敏感肌の特徴は
・同じきっかけで何度も起こる
・繰り返す
・慢性的である
ということです。
シミを例として挙げると、内部に全く問題が起こっていない肌にウィルス感染などのトラブルによる炎症が起こっても、その跡は色素が沈着することなくきれいに治ります。
炎症が深まってメラニンが合成されてしまった時でも、その色素は役目を終えればいずれ消えてしまうのが健康な肌です。
ところが敏感肌では、出ている症状だけ治れば解決するということはなく、頻繁にウィルスに感染しては炎症を起こし、繰り返し、治らない上に跡を消すこともできないということが起こるのです。
敏感肌のメカニズム
肌に様々なトラブルを引き起こす敏感肌ですが、実はその症状は体を守るためのものなのです。
例えばシミは、刺激を受けた部分にメラニン色素を発生させ、これ以上の刺激の侵入を防ぎ、DNAの破壊や細胞のガン化を防いでいるのです。
同じようにニキビも、ウィルスが肌内部に侵入しようとするのを防ぐため、免疫細胞の主体である白血球…つまり血液を患部に集めるため毛細血管が発達したものです。
炎症とはそのほとんどが体を守るためのもの。
多くの人が悩まされている花粉症や食物などのアレルギーでさえ、本来は体を守る炎症反応なのです。
ではなぜ人を守るはずの炎症反応がかえって人を攻撃することになってしまうのでしょうか。
それには意外なことに「脳」が深く関係するのです。
人間には本来戦う時間と休む時間があります。
昼間は戦う時間であり、外に出て活発に動くため、傷を負うなどの緊急事態を想定した体の状態になります。
一方夜間は昼間に負った傷やストレスを癒す時間。
呼吸は深く、体温は上がって循環器系の働きが活発になります。
この状態の切り替えをつかさどるのが「自律神経」です。
自律神経は昼夜を切り替えるため、2つの神経から構成されています。
この2つの神経はどちらかが優位になればどちらかは待機状態になり、交代で働きます。
仕事が終わって帰途についているとき、人は晩ご飯を考えたりなどリラックス状態に近く副交感神経が優位になっていますが、そこで小石につまずいてとっさに身構えるとき、自律神経は急激に交感神経優位に傾きます。
2つの神経の波は細かいところなら息を吸うことと吐くことで切り替わったり、立ち座りでも切り替わります。
ストレスと戦っているときは、交感神経が優位になります。
最も大きな波は、日が昇るとともに交感神経優位になり、日が暮れると副交感神経が働きだすスイッチによって引き起こされます。
深夜を超えても納期が迫った持ち帰りの仕事のため、PCに向かっているという状況は、まさしく交感神経がオーバーワークをしている状態です。
交感神経は傷を負う、細菌などが侵入するといったことに対応するため、白血球の中でも顆粒球という細胞の働きを活発にします。
顆粒球は細菌や花粉などの異物と戦い、アレルギーや炎症反応を引き起こします。
顆粒球はその働きと共に活性酸素を発生させるため、それだけで肌は酸化し、炎症を引き起こしやすい状態となっています。
その上本来ならその攻撃は副交感神経と交代した時点で休戦となりますが、自律神経が狂うことによって、終わった戦いを過剰に戦い続けることになるのです。
こうして炎症を起こしやすく、起こせば長引き繰り返す敏感肌が生まれるのです。