敏感肌の基礎知識

皮膚科美白、ハイドロキノンとトレチノインは敏感肌でもOK?

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アトピーやアレルギーを持っている人はもちろん、ちょっと肌が敏感かもしれない…と思っている段階の人にとっても、「敏感肌とシミ」の問題は切っても切れないものです。

それもそのはず、メラニンは肌細胞への刺激に対して身を守るために生み出されるもので、強弱を問わず常時炎症が起きている敏感肌は、常にシミの原因を抱えているということになります。

 

敏感肌の人の中には、そんな理由もあって美白化粧品が苦手な人も多いはず。

では、皮膚科で処方されるハイドロキノンやトレチノインなどの外用薬は、敏感肌にも有効なのでしょうか。

その効果のメカニズムと治療法から、皮膚科の美白が敏感肌のシミに有効であるかを検証していきたいと思います。

 

唯一と言われるシミ消し成分ハイドロキノンと敏感肌

ハイドロキノンと言えば、唯一シミを消せる医薬品成分と言われることも多い、美白界の絶対王者です。

実は「唯一シミを消せる」というのは間違いで、医薬部外品有効成分「ビタミンC誘導体」にもメラニンの還元作用があります。

 

それでもハイドロキノンが唯一絶対と言われる理由は、その効果が「肌の機能を損ねてもシミを取る」という、シミ一点特化型の薬剤だからではないでしょうか。

ともすれば副作用に泣くことになる可能性も高いハイドロキノンの特性についてお話ししたいと思います。

 

ハイドロキノンは肌本来の機能を破壊することによってシミを消している

 

医薬品や医薬部外品がシミに効く仕組みは、大きく分けて3つのパターンがあります。

 

1.色素が合成されるのを阻害する

2.合成された色素が黒色化するのを阻害する

3.黒色化した色素を正常な色素へと還元する

 

ハイドロキノンにできるのは1と3です。

ビタミンC誘導体は3つすべての能力を持っている成分です。

では、ハイドロキノンとビタミンC誘導体の違いは何かというと、簡単に言えばビタミンC誘導体は飲んでも害がなく、ハイドロキノンは飲めば確実に粘膜に異常をきたすという部分にあります。

 

つまり、ハイドロキノンは人体向けに調整された成分ではありません。

他の多くの美白成分は、医薬品成分・医薬部外品成分に限らず、シミを消すために生み出されたものであったり、他の症状に効く医薬品や医薬部外品、化粧品や食品として使用されていたものであったりします。

 

ところがハイドロキノンは、写真を現像するための還元剤として、人の肌に触れないように使用されてきた歴史がスタートです。

そのため、人間の生活に合うようにはできていません。

非常に酸化しやすく、酸化してできたp-ベンゾキノンという物質は、皮膚に対して刺激性や腐食性を持っています。

 

その強力な還元能力と肌への刺激はイコールで結ばれているため、綿棒などでシミの部分にピンポイントで塗る必要があり、光によって変質するため日中は肌に乗せたまま外出することはできません。

炎症による色素沈着や毛細血管拡張による色素沈着には逆効果になります。

 

ハイドロキノンがてきめんに効果を発揮するのは外傷によるシミなど、他の部分の肌は健康で問題がない場合のみといっても過言ではありません。

つまり、敏感肌で、炎症を起こしやすい肌の人には逆効果となる可能性が高いのです。

 

ターンオーバー信仰を生み出したトレチノイン

一時期どんな美容記事にも見られた「ターンオーバーが滞っているから肌状態が悪い」という、ターンオーバー信仰を生み出したのがトレチノインです。

 

ハイドロキノンと一緒に処方されることも多く、またそれを望む患者も多いトレチノインは、簡単に言えば「超強力なピーリング剤」です。

トレチノインによる肌への効果とそのメカニズムについてお話しします。

 

人工的にターンオーバーの異常を作り出すビタミンA誘導体、トレチノイン

 

皮膚科でのシミ治療に高確率でハイドロキノンの併用として使用されるトレチノインは、以外なことににんにく注射と呼ばれる美容注射と同じ、ビタミンA製剤です。

高濃度のビタミンAは、通常28日程度と言われるターンオーバーの周期を2週間程度にまで早めることができる成分です。

 

そのため、現在あるシミの排出を早め、ハイドロキノンで新たにメラニンが結合するのを阻害すれば、最速でシミが消えるという考え方です。

トレチノインで肌に起こることは、ターンオーバーの以上に他なりません。

 

ターンオーバーの異常と言うと、アトピーや乾癬などの症状がありますが、これらの皮膚炎の特徴に、皮膚がぽろぽろとめくれては落ちるというものがあります。

トレチノインの使用によって起こることもやはり同じで、育ち切っていない細胞が育たないまま失活し、角質層を形成する要素である細胞間脂質やNMFがきちんと作られていないため、角質層とならずそのまま剥がれ落ちます。

 

結果的に、生の肌が露出したままの状態で生活することになり、ハイドロキノンと同じく、日光の元での生活が難しいということになります。

角質層がないので、少しの外的刺激にも負けてしまうことになるので、治療と仕事を並行して行うのはとても困難です。

 

ハイドロキノンとトレチノイン、どちらも普通肌にさえ危険が伴う薬です。

敏感肌の人におすすめできるものではありませんが、肌の健康を損なっても、今現在あるシミがどうしても取りたい!と言う場合は、以上の危険性をしっかりと理解した上で、医師とよく相談の上、治療に当たるようにしてください。

 

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