敏感肌の基礎知識

皮膚科のアドヒアランス・・・医師と患者が一緒に考える治療

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ネットでなんでも調べることができるようになった時代。

病院で処方された薬の詳しい情報も簡単に手に入り、医師によっては服用している薬の基本情報を患者自身が管理することを求める人も増え始めています。

 

少し前までは、自分がのんでいる薬の名称さえ知らないという人も多かったものですが、今後は患者自身がもっと踏み込んだ服薬治療が重視されます。

このような患者と医師とが相談し合って服薬治療の方向性を決める方法を「服薬アドヒアランス」と呼びます。

皮膚科の患者となる可能性も高い敏感肌の人にとって大切なアドヒアランスの重要性についてお話ししたい思います。

 

患者が薬について理解を深める重要性

これまでは症状を診た医師が病名を決定し、その症状に合った薬を処方し、患者は処方通りに服薬すれば良いという治療が、投薬治療の中心でした。

そのため、患者は別の医療機関を受診したとき、自分が服用している薬の名称を答えられないことも多かったのです。

 

特に、皮膚科での投薬治療は、症状自体も、命に関わる重篤なものが少なく、処方される薬にも、外用薬、内服薬共に重い副作用などは少ないので、処方時の説明も軽いものでした。

そのためステロイドを「魔法の薬」のように思い、何かある度に使用して、皮膚委縮などの後遺症に悩まされるようになる人も後を絶たなかったのです。

 

もちろんこれには、副作用や使用法に対するきちんとした説明を怠った医師の責任もありますが、薬を処方されながら、その正体をしっかりと知ろうとしなかった患者側にも責任がないわけではありません。

 

言葉にしにくい自覚症状や、症状の波などは、数分間診察しただけの医師には判断できないこともあります。

限られた時間の中で、最大限の治療効果を得ること、副作用の危険性をできるだけ避けることに大切なポイントは、アドヒアランスに必要な3つのポイントに絞ることができます。

皮膚科治療のアドヒアランス、そのポイント4点

皮膚科治療で最大限の効果を得るために必要なアドヒアランスを高めるポイントは3つあります。

 

①治療計画と薬の作用・反作用に関するインフォームドコンセント

専門的な言葉ばかりになってしまいますが、インフォームドコンセントという言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

何となく聞いたことがある人にとっては、ちょっと重い病気をそう治療していくかを相談することだというイメージがあるかもしれません。

インフォームドコンセントは重い病気ばかりではなく、敏感肌や風邪の治療にも必要なものです。

 

現在の客観的な症状や、それに対してどのような治療の選択肢があるのか、その選択肢それぞれのメリットとデメリットなど、医師が持てる情報を患者に開示し、これからの治療計画を詳細に説明するということです。

特に、重い敏感肌・・・アトピーやアレルギーなど慢性的なものなどには、治療期間中に二の手三の手が打たれることも多いので、その度に、その治療法がどういう効果と副作用をもたらすのか、できるだけ詳細に聞き、納得の上治療に臨むことが大切です。

 

②再診では薬をもらうだけでなく、しっかりと状況を伝える

 

一度薬を処方してもらったら、治るまでそれを塗り続けていればいいというのは、アドヒアランスに反する考え方です。

初診で処方してもらった薬がどのように肌に影響しているのか、気になっていた症状以外の部分に薬による影響と思われる症状はないか、また、使用感に不快はないかなどを自分できっちりと把握して伝える必要があります。

 

また、気になっている新薬や、自分の使っている薬への不安を口にすることは恥ずかしいことではありません。

ネットで得た情報によって不安になってしまった、効果がないという口コミを聞いてしまったなど、治療に対して後ろ向きになってしまうこともあると思いますが、アドヒアランスにしっかりと応じてくれる医師であれば信用してその不安を相談してみましょう。

 

③使用量や塗り合わせのNGなど具体的な使用法を聞いておく

1回に使用する薬の量は、医師によって「たっぷり塗ってください」「10円玉大まで出して」など、さまざまな表現である場合があります。

10円玉大という表現はとてもわかりやすいですが、0.5gなどと言われると、はっきりどのくらいかわからないため、結局目分量になってしまいます。

 

副作用の少ない保湿剤や天然成分の抗炎症剤などの場合問題ない場合が多いですが、ステロイドやタクロリムスなどの外用薬では、使用量や一緒に使う外用薬によって全く効果がなくなってしまったり、副作用が強く出てしまうことが考えられます。

できれば週に1度などの短期スパンで通院すると管理がしやすいですが、忙しくて1月分の薬を処方してもらっている人も多いため、1日にどれくらい使うべきなのかわかりにくくなることもあります。

 

1日のいつ、どれくらい使うのか、日中に使用しても肌に対して問題はないのかなど、自分でしっかりと責任意識を持って治療に参加することがアドヒアランスを高め、治療に成功しやすくなる最善の道です。

 

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