敏感肌の基礎知識

皮膚科のジェネリック医薬品、本当に先発医薬品と同じもの?

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敏感肌の状態が悪化して、化粧品や市販の医薬部外品によるスキンケアではどうにもならなくなったとき、最後に頼ることになるのが皮膚科です。

そこで処方される薬の多くはヒルドイドやステロイド、抗生物質など、そこ下で聞いたことのある名称のものが多いのではないでしょうか。

 

近年ではそんなメジャーな医薬品のほかに、同じ有効成分を配合したジェネリック医薬品が処方されることが多くなっています。

黙っていればジェネリックを処方されていることもあるほどポピュラーな選択肢となったジェネリック医薬品ですが、このジェネリック、皆さんは実際にどのようなものかご存知ですか?

 

治療のコストパフォーマンスを上げるためにも、自分が日常的に服用・塗布する薬を理解するためにも、ジェネリック医薬品についての知識を深めておきましょう。

 

ジェネリック医薬品とは

一般的に考えられているジェネリック医薬品のイメージは、特許の切れた先発医薬品のコピー医薬品であり、先発医薬品より安く処方してもらえるというものでしょう。

実はこのイメージは非常に大雑把なもので、先発医薬品とジェネリック医薬品は全く違う医薬品である場合があるのです。

 

その原因は、医薬品に関する特許が以下の4つのパターンに分かれているからです。

・物質特許(有効成分に対する特許)

・用途特許・医薬特許

・製剤特許(用法・容量に対する特許)

・製法特許

 

上から順に特許の権利が強く、1番権利の強い物質特許では発見・発明した有効成分に対する幅広い権利を有することになります。

 

先発医薬品とジェネリックに差が生じる理由

上記のように、先発医薬品とは4つの特許のいずれかを保持している製薬企業ということになります。

この4つの特許が一斉に切れると、先発医薬品と全く同じ医薬品を別の企業が作ることができますが、いずれかの特許がまだ生きている場合、同じ処方によって製造することができなかったりします。

 

物質特許が切れると、他の特許が生きていてもその有効成分を含んだ薬を作ることはできますが、その有効成分が先発医薬品と同じように効果を発揮する組成は再現することが難しいと言えます。

その理由は、先発医薬品には莫大な金額の研究費用が掛かっており、ジェネリック製薬企業では自社でその規模の開発を行うことはできないからです。

 

その違いはどれくらいかというと、具体的に皮膚科外用薬の組成を比べてみましょう。

先発医薬品 ジェネリック
プロピレングリコール スクワラン
セスキオレイン酸ソルビタン オクチルドデカノール
マイクロリスタンワックス
フィトステロール
セタノール

組成を一見しただけでは同じ薬には見えませんが、これがジェネリック医薬品として「同じ効果で安価な薬」として処方されることになります。

 

また、特許がすべて切れて、製法や用法などがすべて明らかになっても、全く同じものが作れるとは限りません。

外用薬で言えば成分の抽出の仕方や混合の方法、内服薬で言えばカプセルや錠剤化の方法などに製薬企業独自の方法があり、効果が出るまでに時間がかかったり、これまでは抑えられていた副作用が、ジェネリックにしたとたん発現するということも考えられるのです。

 

先発医薬品と全く同じ成分のジェネリック医薬品

 

一方、先発医薬品と全く同じジェネリック医薬品も存在します。

それはオーソライズドジェネリックと呼ばれる、先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック)の間のような位置づけの医薬品です。

先発医薬品とは別の企業が販売しますが、先発医薬品の企業が、特許期間中に特許権を公認した医薬品です。

 

つまり、特許を持っている企業が別の企業に同じ薬を作る許可を与えているということなので、全く同じ薬を作ることができるのです。

日本では、有名なところで

・先発薬アレグラのオーソライズドジェネリック「SANIK」

・先発薬クラビットのオーソライズドジェネリック「DSEP」

などがあります。

 

「安いから」というだけで医薬品を決めない大切さ

ここ数年医療現場でジェネリックが推進されているのは、国民保健による国庫の医療費負担が大きな理由です。

大きな病院で医師にジェネリックを勧められることが少ないのに、小さな医院や薬局でジェネリックを勧められるのは、ジェネリック医薬品を販売することによって保険点数=診療報酬が加算されるからです。

 

特に皮膚科外用薬は先発薬とジェネリックを比較した表を見ればわかるように、ジェネリックとして処方されたものが、肌に全く合わないという事態を呼びかねません。

組成が全く違うため、アレルギーを起こす物質が含まれていてもおかしくはないのです。

 

もちろんジェネリックにも先発医薬品より安くて、同等の効果を得られるものがたくさんあります。

ただ、そうしてジェネリックが選ばれ続けることによって、先発医薬品を開発できる能力のある企業の弱体化を招くのは必須です。

皮膚科にかかり、診療を受けるとき、薬を処方されるときは、化粧品を選ぶのと同じように、責任を持つことが大事です。

どんな治療法を提案されても、医師とよく相談して治療計画を立てるようにしましょう。

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