乾燥や炎症がひどい肌は、冬になると関節の裏や目の周りの角質がなくなり、炎症を起こしてヒリヒリする生の肌がむき出しになってしまいます。
春になると肌自体の痛みやかゆみは治まるものの、残った赤みはまた次の冬になるまで残り続けることがあります。
夏になって薄着や水着になると「アトピー?」などと心配されたりして気になるこの赤みを改善する方法はないのでしょうか。
赤みが起こる原因を解明して、夏までに元の肌に戻せるスキンケアについて考えてみましょう。
【目次】
関節裏や目の周りの赤みはなぜ起こる?
アトピーや極度の乾燥などによって関節の裏や目の周りが腫れたりかゆくなる経験がある人も多いのではないでしょうか。
いつもこの部分に赤みやかゆみが起こるのには理由があります。
ひとつは、関節や目の周りはよく動く部分で摩擦などの刺激を受けやすいということがあります。
また、肌が折れ曲がる部分でもあるため、どうしても花粉やホコリなどの刺激になる物質が溜まりやすいことも1つの要因となっています。
さらに、目の周りや関節の内側は、体の中でも特に皮膚が薄い部分です。
刺激を受けやすい上に弱いという、皮膚上の弱点とも言える場所が、関節の裏や目の周りなのです。
乾燥性敏感肌とアトピーに共通して起こっていることとは
乾燥性敏感肌やアトピーに共通して言える症状は「角質層が薄い」ということです。
これは、夏場の一見健康に見える肌でさえ当てはまることで、冬になれば角質層はさらに薄く不安定な状態になります。
アトピーの人は生まれつき、セラミドや天然保湿因子(NMF)など、肌の中から生まれてくるはずの保湿成分が生成されにくいという特性があります。
これは、セラミドなどを生成するために必要な酵素がうまく働かないからだと言われています。
乾燥性敏感肌にも、実は同じことが起こっています。
何らかのきっかけで肌が炎症を起こすと、アトピー肌の内部と同じようにうまく酵素が働かなくなります。
セラミドやNMFが産生されないと乾燥肌妊りそうなのは大体想像が付くという人が多いと思いますが、事態はそれだけに収まりません。
NMFやセラミドは、角質層を形成する大事なパーツです。
角質層の構造は「ラメラ構造」と呼ばれていて、表皮細胞の抜け殻と、その中から染み出した細胞液であるセラミドやNMFが折り重なるような作りになっています。
この構造はセラミドやNMFが角質を接着しているから成り立つもので、角質層だけでは単なる垢と同じです。
つまり、表皮細胞が細胞としての役目を終えて間もなく、肌を覆うことができずに浮き上がったり、パラパラと剥がれ落ちてしまいます。
守るものの亡くなった表皮細胞は、ただでさえ炎症を起こしているのに、さらに刺激をまともに受けることとなってしまい、状況が悪化することになるのです。
アトピーや乾燥性敏感肌の角質痩せを防ぐ方法
元々角質層の薄い部分である関節や目の周りは前項のような「魔のサイクル」に陥りがちで、一度和の中に入ってしまうとどんどん悪化します。
こうなってしまったら、何よりもまず炎症を止める必要があります。
関節や目の周りの炎症を止める
アトピーや乾燥性敏感肌を経験して長い人には、ヒリヒリとし始める予感がわかると思いますが、そうなったら保湿のみで何とかしようとは思わずに、抗炎症成分を使いましょう。
代表的な抗炎症成分は
・グリチルリチン酸(ジカリウムや2カリウム、2Kなどの表記も同じものです)
・カンゾウエキス
・トラネキサム酸
・オウゴンエキス
・カミツレ(カモミラ・カモミールなどの表記も同じものです)エキス
などがあります。
ヒリヒリ感を超えて、明らかに熱を持ったり赤く腫れだしたりしたら、すぐに信用できる皮膚科にかかりましょう。
短期間のステロイド外用薬治療を勧められることが多いと思いますが、痛いほどの炎症を抑える間の1,2週間で皮膚が委縮したり腎機能に影響するようなことはまずありません。
よく使用法を聞いて、怖がらず治療に専念しましょう。
角質層を育てるただしい保湿のやり方
炎症が落ち着いて来たら、炎症によって落ちている角質層を育てる力をサポートする必要があります。
ここで、べっとりしたオイルを何重にも塗ったり、化粧水をミストして、乾いたらまた吹きかけて・・・を繰り返したりする人がいますが、その方法では逆効果になっていることが多いです。
角質層を育てる保湿の正しい方法は、油分と水分を両方与えることです。
セラミドは油分、NMFは水分です。
角質層のラメラ構造は水分と油分、そして角質がサンドイッチになっていることによって、油性・水性両方の異物にも紫外線の刺激にも簡単に侵入されないようになっています。
そのため、保湿も同じように油分と水分を与える必要があるのです。
肌の赤みがずっと残るのはなぜ?
そうして肌を守って、炎症が落ち着いても、まだ残る悩みがあります。
「赤みが残る」ということです。
夏になっても肘の内側に残る赤みが気になる人も多いのではないでしょうか。
これもやっぱり、その部分の肌が薄いことが関係しています。
もう痛くもかゆくもないのに赤いのは、すべて真皮に流れる毛細血管の色です。
どうしてその毛細血管が、乾燥肌やアトピーだと目立つのかというと、1つは単純に角質層が薄いので透けて見えやすいということがあります。
また通常、角質層に含まれている水分や油分によって光が反射されて、ちょっとした肌の赤みやくすみは目立たなくなるものですが、セラミドやNMFの少ない角質層では光が反射されにくいこともあります。
赤みの原因は毛細血管によるもの
最大の原因は、炎症が大きくなってしまったことによるものです。
乾燥などによって肌に刺激を受けると、その刺激を体内に侵入させないために免疫が働きます。
免疫とは、白血球のこと。
この白血球を運ぶために、毛細血管は最大限患部に近づこうとします。
そして、熱を出し、刺激や細菌と戦うのですが、これが炎症という状態です。
伸びた毛細血管は刺激やウィルスなどの攻撃がなくなれば撤退しますが、冬の乾燥肌やアトピー肌は炎症を繰り返すため、そこに毛細血管が常駐してしまうのです。
さらに悪化すると、毛細血管が切れた部分から血が漏れ出し、色素沈着したりします。
いったん毛細血管が常駐し始めると、夏の間に解決することは難しいものです。
ですから、冬の炎症をいかにその場限りで収めるかがカギになります。
また、何年も乾燥やアトピーに悩まされ、治った後何年たっても赤みが治らないという人は、血管が拡張したまま戻らない「毛細血管拡張」になっています。
その場合、レーザーやフォトによって改善が可能です。
エステではなく、クリニックに相談してみてくださいね。