「敏感肌の原因は生活の乱れ」・・・そんな論調の研究者や書籍は多いですよね。
実際に、毎日の生活が身体を作っているので、やっぱり肌にも生活の乱れは影響します。
夜更かしした次の日、暴飲暴食をしてしまった日。
肌に悪いとはわかっていても「ちょっとだけなら」と自分を甘やかしてしまう時もありますが、意外にもそのちょっとだけが、肌を直撃していることがあります。
中でも、意外に知られていないのが、食事のタイミングによる肌へのリスク増加。
テキサス大学南西部メディカルセンターで行われた研究から、肌を守る体内時計のリズムについて考えてみましょう。
夜食で肌時計が破壊される!?
日本では筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のメンバーであり、テキサス大学に所属するジョセフ高橋博士などの研究によると、意外なことに、肌はわたしたちの食生活リズムによって、自らの生活時間を決めているようです。
具体的には、夜間、すでに休むべき時間に食事をすると、肌はUV-Bに対する抵抗力を弱めるというものです。
これは、夜間の食事によって肌の時間認識が狂い、本来紫外線に対して働くはずの乾皮症色素基A(XPA)酵素(UV損傷皮膚を修復する酵素)が乱されるからだと推測されています。
マウスによる実験でも、食事時間が異常なマウスは紫外線に弱く、規則正しく夕方に食事をとらせたマウスには紫外線への脆弱性はみつかりませんでした。
人による臨床実験はまだ行われていませんが、XPA酵素は人とマウス共通の酵素であるため、同じ結果になる可能性は高いと考えられています。
つまり、肌は食事の時間に影響される体内時計のようなものを持っていて、特に夜遅くの食事によって、そのリズムが乱される可能性が高いという研究結果になっているのです。
このことからわかるのは、肌を紫外線から守るためには、日が落ちてからなるべく早い時間にその日最後の食事を取り、肌時計に「夜はこれから」というサインを送ることが大切だということです。
(この記事はアメリカテキサス州メディカルセンターのリリース・Australian woman’s healthの記事を参考にしています。)
夜食によって肌に起こる様々な影響
高橋博士の研究からわかることは、夜食によるUV-Bへの影響だけですが、夜食にはあまりお勧めできないリスクが他にもあります。
日本人によくみられる「夜食症候群」というものです。
世界的に見ても、日中仕事に忙しい日本人は、比較的夜の食事を遅めに、しっかりと取る傾向にあります。
知っている人も多いかもしれませんが、これは生活習慣として理想的なものではありません。
遅い夕飯を取っても、あとはリラックスして寝るだけなので、豊富な栄養が使われることなく脂肪として蓄積されるということはもうご存知の通りです。
それ以外にも、日が沈んで時間が経ってからの食事は、本来これから休む体に調整するべき自律神経のバランスを狂わせ、不眠の原因となります。
壊れたり傷ついたりした肌細胞の修復は、寝ている間の成長ホルモンによって行われるため、自律神経がきちんと働いていなかったり、不眠に陥ったりすると、肌年齢以上に回復が遅い肌になってしまいます。
夜食が腸に及ぼすデメリットとは
また、消化しきれず就寝してしまった場合、体中の免疫細胞の6割を構成する人体最大の免疫系、腸管免疫系も打撃を受けます。
就寝中はイチョウの動きが鈍くなり、消化が進まなくなることによって、就寝前に食べたものが胃腸内に滞ることになります。
消化されずにとどまっている食物は、内臓にとって異物に他ならず、腸内の常在菌バランスが崩れる原因となります。
この腸内細菌は、最近では「腸内フローラ」や「腸活」として注目を浴びていて聞いたことがあるという人も多いと思いますが、腸内の免疫系の働きを左右するほど大きな力を持っています。
肌を攻撃する外的刺激から身を守るのも免疫の働きですが、この免疫は自律神経や腸内環境のバランスを崩すと、過剰反応を起こして肌荒れやアレルギー、ニキビなどを引き起こす原因にもなります。
どうしても夕食が遅くなってしまう場合は・・・
高橋博士の研究でわかった夜食の影響が、どのようなルートを辿って肌へと伝えられているのかは現時点ではわかっていませんが、自律神経バランスや腸への影響には、「体が寝るべき時間に寝る」ということが重要であることがわかります。
ですから、毎日仕事が遅くてどうしてもしっかりした食事を早い時間に取ることができないという場合、夕方、日が暮れる前にしっかりめに軽食を取り、夜の食事はできるだけ消化に良いものを少量取るという対策ができます。
消化に良いものというと、風邪をひいた時に食べるようなもの・・・例えばうどんやおじやがありますが、塩気や油の少ないものを、できるだけ柔らかく、線維が多い場合は細かく切るという調理法で仕上げると良いでしょう。